1991年に創業したイタリアの時計メーカーである。このメーカーが現在開発している時計は総て「レギュレーター」である。
「レギュレーター」とは、文字盤上で時針・分針・秒針などをそれぞれ独立させて動きを見やすくし、時間の把握を容易にしたものである。とはいえ、現代の日本人には、同軸の時針・分針の方が当然馴染み深いため、時間の把握が容易かどうかは疑問が残る。ようは慣れだとは思うが。
元々18世紀、時計職人が時計の精度を測る基準時計として製作されたものを「レギュレーター」と呼んでいたらしい。
さて、今回取り上げたCARLO FERRARAのレギュレーターは、普通のレギュレーターと違う面白い動き方をする。
通常はそれぞれが独立した状態で円運動を繰り返す(場合によっては扇状のレトログラード等で表示)ものなのだが、ETA社製のムーブメントを改造して作ったこのレギュレーターは、運動競技場のトラックのように、時針・分針が運針する。時針は10時から上方向に180度回転し2時まで進み、4時まで垂直に下降し、8時まで下方向に180度回転、10時までを垂直に上昇するという見たことのない方式だ。分針も同等の動き方をする。
秒針は中央で普通に旋回し時を刻むのも面白い。30秒(通常の時計の6時)位置にデイトカレンダーを設けてある。
写真1はその動き方をデモ表示したものだ。時針・分針の動き方のみだが、文章で表すよりは判りやすいだろう。
この面白い時計は見ていて飽きないだろう。デザインも秀逸でレギュレーターに恥じない見易さだ。(写真2)
万人の目を奪うこの時計の運針、文字盤は、時間を見るというということの楽しさ、時計を身に付ける喜びを教えてくれる時計だと思う。\735,000~(SSモデル)