今回は、メンズにはない専用のムーブメントを搭載した「PIERRE KUNZ」のレディース時計の話だ。
この時計、私も欲しい。
サイズは男性でも女性でも身に付けられる大きさだ。しかし完全に女性向けデザインなので付けるのが難しい。しかしキュートなのでどんな女性にも似合いそうだ。
その名も「CUPIDON」。フランス語でキュピドンと読む。有名なキューピッドの事だ。
クピド(キューピッド)はローマ神話の愛の神で、アモルとも呼ばれギリシア神話のエロスと同一視されるが、エロスと若干異なり、背中に羽をつけて恋の矢を撃つきまぐれな幼児として描かれることが多い。
この時計にはその様がありありと表現されている。
手巻きのムーブメントで、文字盤にはハートのダイヤルが描かれている。そこから放射状に広がるサンバースト柄のギョシェ。存在感は十分。(画像1)
レトログラード機構をご存知だろうか?時計好きには当たり前だがそうでない方には聞きなれない言葉かもしれない。レトログラードとは針が扇状に動き、終点まで来ると一瞬で始点に戻り往復運動を繰り返す機構だ。
「PIERRE KUNZ」はレトログラードの魔術師という2つ名を持ち、その作品の殆ど全てにこの機構を設けている。当然「CUPIDON」も秒針にレトログラード機構を取り入れている。しかもこの動きは変わっていて、3本の秒針がそれぞれ20秒を刻む。まるでバトンを渡すかのように動く様は圧巻だ。
まるでキューピッドの矢のような針はハートのダイヤルに沿うように設置され、秒針それぞれに“beaucoup(とても)”・“passionnement(情熱的に)”・“a la folie(夢中に)”と愛のメッセージが添えられている。
裏から見られるムーブメントが凄い。この時計の為に設計されたムーブメントは、ハートに2つのリングの装飾など非常に美しく凝った作りだ。複雑な動きを行う時計の内部を見ることが出来るのも嬉しい。(画像2)
文字盤側も普通は見えない(スケルトンモデルのみ見る事が出来る)が、ハートやキューピッド等をデザインされたムーブメントになっている。(画像3)
ムービーを発見したので興味がある方は是非。URLはhttp://www.wccweb.jp/pk/cupidon/pkmov.htmlである。
「CUPIDON」は、もともとクンツ氏が奥方に贈る為に製作された時計だと聞く。その完成度は語るべくも無い。
ハートのダイヤル部分は豊富なカラーバリエーションで、素材がマザーオブパール、宝石を散りばめたものなどが商品化されている。他にスケルトンモデルなどもあり、好みのモデルを選べるのも嬉しい。SSモデル¥997,500~である。見た目だけでなく中身にも拘りたい女性(男性も)は是非この「CUPIDON」を。