今回の自分史には不快に思われる表現が出てきます。苦手な方はサラッとお流し下さい。

37歳で妊娠、38歳で出産。今の世の中では、35歳以上は高齢出産と言われる。37歳年間生きてきたとはいえ、妊娠、出産については初心者なのだ。ただ、友達には子供はいたし、色んな本を読んだりしたが、私の場合、今から考えると普通の妊婦では無く、パニック障害者の妊婦なのだ。
そこは少し置いといて、妊娠が確認出来ると、高血圧を指摘される。以前から高血圧だったので、1年を掛けて生活習慣を見直し、通常血圧になっていた。がしかし、白衣症候群というのがあって、病院で測ると緊張から血圧が上昇するのだ。家には血圧計は正常値をキープしていた為、事情を説明するが、医者は数字しか信用しない。自分の経験値でものをはかる。私は後からそう思ったのだ。妊娠を告げられ、高齢出産と聞き、更に高血圧だと言う。そして、それがどういう意味を示す事になるのか、次々と告げられるのである。

あなたにとって、子供を産むと言う事は年齢的に健康で産むギリギリの年齢だ。そして、五体満足で産まれてくるか分からない、しかも高血圧とは母子共に危険なんですよ。まず胎盤が剥がれてしまう事があるので、絶対に守ってほしい。必ず薬は朝、昼、晩。3回必ず飲む事。食べなくても薬は欠かさないように。

初めての経験だから先生の言う事は絶対なのだ。産婦人科を出た私は思うのだ。

まず、私が子供を産めのだろうか?
そうだ、ちゃんと先生の事を聞いていれば、必ず良い結果につながる。
ただ、おめでとうございます。なんて産まれないと言われないんだ。しかも一杯心配だらけだ。
これは、おめでたい事なのか?

仕事から帰ってきたダンナには喜んでもらえた。しかも、お互いの親には安定期までもう少し黙っておく事にしたが、それは守れなかった。

早くも吐きに襲われ、一日中ソファーとトイレを往復する毎日が続いた為、母に相談したのだ。

私を妊娠した時どうだった?
随分前の事だけど、つわりは食べれない物があったり、逆に食べなければ気持ち悪くなったりしたかも知れないね。まあ、あなたを産んだ時はあなたより10歳位若かったから、年齢的にもつわりは辛いかも。

まあ、聞いた所で何も変わらないけど、皆んなこんなにも苦しい、つわりを経験してから子供を産むから子供を愛おしく思えるんだ。私の解釈はそんな感じだった。
妊娠がわかってから2ヶ月、自分の状況を確認する事無く、先生から言われた事をただひたすらに守り続け、水をも受け付けず、一晩中吐き気と戦い、ソファーベッドに倒れ込む。そして朝を迎え、ダンナが仕事に出かけると、朝の高血圧の薬を流し込み、絶対に1時間は吐かないと我慢する。薬が溶けたか溶けてないかわからない内からもう苦しくなる。
お昼になっても、夜になっても同じ事を繰り返しソファーベッドと一体化したように私はほとんど動け無くなるのである。ダンナにポカリとゼリーを買って帰って来てもらう生活が続くのだ。日が過ぎていけば、必ず安定期がくるんだ。と信じて。だが、遂に根をあげた時には、体重は妊娠した時より10キロ痩せ、水分も身体が受け付けない、食道は炎症が酷く、氷の支柱をタオルで巻き、胸に当てて体の外から炎症を抑えるのだ。だが、2時間もそれは持たない。次第に冷凍庫の中で氷枕が6つに増え、氷柱が3本になったが、全てを使い果たしてしまい、もはや、身体を炎症から紛らわせる事が出来なくなるほど、嘔吐を繰り返し、冷凍庫が冷えない状態へと陥るのだ。
そして、炎症している食道からは血が出始め、もう、どうしようも無いヘタレだと自分で思いながら、ダンナと相談して救急車を呼ぶのである。
妊娠3ヶ月目、重度妊娠悪阻で即入院となる。