高校生活において自分に課した約束を、1学期直ぐに破ってしまった事は多少心に罪悪感を抱いたが、わざわざ16人の敵と共に同じ学校を選ぶ事になったのは、系列大学に行きたい大学があったからだ。推薦さえ取れるならば、どんな嫌がらせにも耐えてみせると心に誓ったものの、毎日、毎日名前を呼ばれる振り返らなかったり、嫌でも手を振らなければ

何、無視してるんだ!自分がどんな人間か理解しろ!お前と同じ高校なんて、こっちが嫌なんだよ!呼んでるんだから返事ぐらいしろ!お前に友達なんか作れないんだから、早く退学したら?
ねえ、聞こえてる?そこの嘘つきやろう!

1日6時限で、何度声を掛けられるか、暫く数えた事があった。生徒手帳に正の字を書いて。一日で最高23回という日があった。私の学校は土曜も授業だったので、6日間で100回近くなった。人は飽きるというが、2学期になっても、学年が変わっても私に対しての態度は変わらなかった。先生は見て見ぬ振りだということも知っていたから、どうにかしてもらおうとは思わなかった。

そんな状態でも、人間生きて行けるんだ。私は学校がある最寄りの駅から、全てをオフモードに切り替え高校生活を送っていた。だから、家では私がどんな高校生活を送っているなんて、誰一人として疑う人間は居なかったんだ、ごく少数の友達と接して、同じ中学出身者からは毎日毎日声を掛けられる、疲れた頃に反応を止めると、化学反応が起こったごとく罵声をくらう。
そんな日々は、私にとっては諦めみたいに、何となく高校生活が送れれば良かったのだ。

なのに、高校3年の春に、やっかいな事が起きてしまったのだ。それは私ではどうする事も出来ない、どうあがいても、どう叫んでも、考えても考えても納得が出来ない事が自分の身に降りかかる事になる。