幼稚園に入る頃には今の自分が出来上がっていた。よく嘘をつき、自分に注目をよせる。何も考え無いのに、口からポロポロと出る偽りの言葉。
その言動は、多分、父や母の愛情を感じる事が少なかったからだと分析している。

母は専業主婦だったが、趣味もなければ、近所に友達もいなかった事もあり、兄が小さい頃はお金に困った事が一時期あったようだが、普通のサラリーマンの父も、私が幼稚園の頃にはそれなりに昇進もし、裕福とは思わなかったが、何の為だか、パートに出てみたり、家で内職をしたりしていた。しかし、どれも、身体を壊して最終的には寝込んで辞めるを繰り返していた。その時の家の状況としては、叔母が始めたピアノ教室を1階でしていた為、母はレッスンが始まる前から家にいて、先生にお茶を出し、夕方先生が帰るのを見送る。そんな生活を週4日こなしていた。約15年間も続いていた。母の自由など、無かったと今となっては納得がいく。自分の存在価値など考えていたら暮らしてはいけない。自分が嫁入りしてきた所は、祖母を筆頭に自分に自信を持っている人の集まりだ。今の時代では考えられないだろう。

私の歳になって思う事は、母が皆んなから認めてもらいたい事をしたかったんだ。だから、パートに出たり内職したり、何でも手作りしたり、父が休みの日でも、外にご飯を食べに行く事はほとんど無かった。旅行も又、実家が本家になるので、親戚は皆んな私達の家に集まる。お盆休みや冬休み等家族総出で本家に集まるのだから、母は動きっぱなしで、皆んなが帰ると良く身体を壊していたなー。しかも皆んながいる間は母の機嫌も悪くピリピリしていた。子供ながらに、親戚の集まりは楽しいし、従姉妹にあえる事は嬉しかったけど、出来るだけ、自分の失敗によって、母の立場が悪くなる様な事だけはしないでおこうとしていた。