仮想通貨(暗号通貨)というと、不確かで怖い反面、儲かると興味を抱く方も多いのではないでしょうか。

近年メディアなどでも取り上げられ、有名人の投資先として紹介されることもあり、仮想通貨へ投資する方が増えています。

しかし、その一方で仮想通貨詐欺が年々増加していることはご存じでしょうか?

今回、仮想通貨詐欺についてその手口や特徴、被害に遭った場合の相談場所など詳しく解説します。

仮想通貨詐欺がどのようなものなか事前に知っておくことで、被害を抑えることが可能です。

仮想通貨に興味がある方はもちろん、仮想通貨詐欺かどうか心配な方もぜひ参考にしてください。

 

 

■そもそも仮想通貨(暗号資産)って何?

 

ビットコインやイーサリアム、リップル、ドージコインなど、これらはすべて仮想通貨(暗号資産)の名称です。

以前に比べて耳にすることも多くなり、「仮想通貨=ビットコイン」と思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

仮想通貨とは、インターネット上で取引ができるデジタル通貨を指します。

データで管理されており、紙幣やコインのようには実在していません。

そのため、不確かで怪しいイメージがついていますが、ブロックチェーン(取引履歴が管理され、データの改ざんができない)という技術が取り入れられているため、実際は安全性に優れた通貨として需要の拡大が期待されています。

仮想通貨は、国家や中央銀行によって発行される法定通貨ではありません。

送金手数料の負担も少なく、送金にかかる時間も30分もかからないのも特徴の1つと言えるでしょう。

現状、仮想通貨での決済はそこまで普及していないので、通貨というより資産としての側面が大きいです。

また、仮想通貨の値動きの幅は大きく、投資というより投機に近いと言えるでしょう。

 

 

■仮想通貨詐欺とはどんな詐欺?その手口とは?

年々、仮想通貨に関する相談は増加傾向にあります。

2022年、※PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談件数は5,586件に上り、仮想通貨の認知度が上がるのと比例して増えていると言えるでしょう。

2023年5月現在では、624件(前年同期596件)の相談が寄せられています。

一攫千金を狙える通貨として、金融リテラシーの低い人をターゲットに詐欺を行う事業者が後を絶ちません。

仮想通貨詐欺に遭わないためにもどのような手口があるのか理解しておくことは重要です。

ここでは、主な仮想通貨詐欺の手口を紹介しましょう。

 

参照:独立行政法人国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)

 

・ポンジ・スキーム

「確実に儲かる」「高配当を約束する」などと架空の話を持ち掛け、実際に支払った出資金は運用されず、多額のお金を騙し取る詐欺です。

始めのうちは配当金を振り込み、信用させるのでより大きなリターンが欲しくなり被害額が大きくなる傾向があります。

出資から少し経った後、口座が凍結したり、配当金が滞ったり、連絡がつかなくなるケースが多いです。

 

・フィッシング詐欺

最も普及している仮想通貨詐欺の1つです。

メールやSNSで個人情報を抜き取り、支払いを求められます。

仮想通貨の交換所を装い、ログイン情報やクレジットカードの情報が抜き取られるケースもあります。

 

・虚偽の有名人の推薦

芸能人や有名な投資家など、有名人を装い偽のアカウントを使ってフォロワーから出資させる手口です。

信頼できそうな人物に成りすますのが特徴です。

 

・偽のアプリや偽の取引所

実在しない偽の取引所を設置し、ユーザーに手数料を支払わせたり、資金を入金させたりします。

個人情報や資産情報を盗んだり、デバイスがウィルスに感染したりするケースもあります。

 

・クラウドマイニング詐欺

クラウドマイニングとは、マイニングサービスを専門とする業者に資金を支払い代行してもらうことを指します。

利用者は、業者がマイニングで得た報酬の一部を受け取ることができるというものです。

実際は、業者はマイニングを行っておらず、リターンを得ることができません。

 

・市場のパンプ&ダンプ(Pump and dump)

仮想通貨の種類によっては、不正な情報処理をして、価格変動を起こすことも可能です。

情報操作によって不正に価格を上昇させ、上がったタイミングで売り抜けます。

タイミングをパンプ、売り抜けたタイミングをダンプと呼ぶのです。

詐欺師は安く仮想通貨を購入し、売り抜けた分は儲けとなります。

 

・ICOプロジェクトによる詐欺

ICO(新規仮想通貨公開)は、企業などがオリジナルの仮想通貨(トークン)を発行して資金調達を行うことを指します。

トークンの値上がり益を期待して出資する投資法ですが、詐欺的なプロジェクトの場合が多く問題になっています。

 

社会で経済的な不安が広がっていることもあり、値動きの大きい仮想通貨の運用をアピールして、金融リテラシーの低い人をターゲットに詐欺が横行しています。

従来の株式市場と比較して、投資家を保護する規制がまだ不完全なことも詐欺が多発する要因の1つになっているでしょう。

 

 

■仮想通貨詐欺・最近の実例・相談など

 

仮想通貨詐欺の手口も日々巧妙になっています。

ここでは、独立行政法人国民生活センターや金融庁に実際に寄せられた相談や最近の実例を紹介します。

どのような手口で投資詐欺を行うのかを確認しておきましょう。

 

◎知人に暗号資産の自動売買ソフトを使用すると儲けられると勧められた。さらに人を勧誘すると紹介料が得られるという。

 

◎知人から儲かると言われ暗号資産の投資を始めたが口座から出金が出来ない。追加入金すれば出金出来ると言うが不審だ。

 

◎SNSで知った投資家に暗号資産のレンディングを勧誘され海外の業者に暗号資産を送金したが、満期が来ても出金できない。

 

◎マッチングアプリで知り合った女性から暗号資産の運用を勧められた。儲かったので引出を求めたら税金を請求された。

 

引用元: https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/crypto.html

 

金融庁のサイトには、「金融庁からのお願い・注意喚起」のページがあり、様々な詐欺の手口について注意喚起がされています。

仮想通貨詐欺として寄せられた相談内容についても一部紹介しましょう。

 

◎4か月で2.5倍になる暗号資産発行事業の投資を契約。配当も無いし解約しても返金にならず事業者にも連絡がつかない。

 

◎息子は暗号資産を使った投資話のマルチに引っ掛かったようだ。サラ金に借金して出資しているという。どのようにしたらよいか。

 

◎妻が暗号資産のマルチ取引に誘われ消費者金融から借り入れ取引に参加したが、業者が破産した。利益が得られないまま借金だけが残った。

 

引用元: https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/04.pdf

 

友人や知人をとおして、仮想通貨の投資話を持ち掛けられるケースも多発しています。

2021年に起きた仮想通貨詐欺を苦に自殺した女子大生の事件は、記憶に新しいのではないでしょうか。

SNSなどをとおして、若者の間にも仮想通貨詐欺は広がっていることにも目を向けなければなりません。

信頼する仲であったとしても、その知人も詐欺に遭っている可能性もあるので注意する必要があるでしょう。

また、婚活サイトやマッチングアプリで知り合った異性から仮想通貨を勧められるケースも多いです。

支払い後に返金されない、出金できない、連絡が取れないなどトラブルが発生しています。

裏で業者が絡んでいるケースもあり、被害にあってもなかなかお金を取り戻すことができず、問題となっています。

 

 

■仮想通貨詐欺に遭わないための対策法

仮想通貨詐欺に遭わないためには仮想通貨への理解が重要です。

効果的な対策を事前に取っておくことで、万が一詐欺に遭っても被害を最小限に抑えることにもつながるでしょう。

 

・ウォレットを保護する

仮想通貨へ投資をする際に必要となるウォレットは適切に保護しましょう。

ウォレットのパスワードや秘密鍵について投資会社から聞かれた場合は詐欺である可能性が高いです。

 

・よくわからない相手や聞いたこともない仮想通貨への投資は避ける

SNSやメールなどで知り合った相手との取引はリスクが高いです。

いくら条件の良い投資先だったとしても、面識のない相手からの情報は虚偽である可能性が高いです。

基本的には相手にしないようにしましょう。

 

・コールドコールや「儲かる」「高配当」など誇張された広告には気を付ける

突然、知らない相手から投資商品の紹介などの勧誘行為を受けた場合やメリットばかり誇張された広告も詐欺である可能性を疑いましょう。

 

・金融庁に登録されている交換業者かチェックする

仮想通貨の取引を行う業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。

偽のサイトや業者に騙されないためにも利用の際は、認可を受けている業者か確認しておくと良いでしょう。

※認可を受けている事業所一覧(暗号資産交換業者登録一覧/金融庁)

https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf

 

 

■これって仮想通貨詐欺?!対処法と相談先

万が一仮想通貨詐欺に遭ってしまった場合、早急な対応が重要になってきます。

具体的な対処法を4つ紹介しましょう。

 

・法律事務所へ相談する

警察へ被害届を提出しても、仮想通貨詐欺は犯人の特定が難しいので事件化まで至らず、解決が難しいです。

確実に被害金を取り返したいのであれば、法律事務所への相談がおすすめです。

仮想通貨詐欺は特殊な詐欺なので、投資詐欺に精通した法律事務所を選ぶようにしましょう。

法律事務所へ依頼すれば、法的に則った解決策を提案してくれ、被害者に代わって詐欺グループとの交渉も行ってくれます。

訴訟を起こす際もサポートがあるので心強いでしょう。

投資詐欺は時間が経つほど解決から遠のくので、被害に遭遇したら弁護士への相談を視野に入れて早めに動きましょう。

 

・被害状況がわかるよう情報を書き出す

ブロックチェーンで利用したIDや投資先、詐欺師とのやり取りの形跡、使用したアプリやサイトのURLなどを書き出していきましょう。

警察に被害届を出す際や法律事務所に依頼する際にも証拠として必要になります。

 

・一時的に使用している銀行やクレジットカードを止める

被害額を増やさないためにも、利用したクレジットカードや銀行口座の利用サービスを一時的に停止しておきましょう。

取引に使用したパスワードやIDも変更しておくと良いでしょう。

 

・金融庁など国の相談窓口へ電話する

上記2つの対策を取った後は、仮想通貨専門の相談窓口へ連絡しましょう。

まだ不確実だったとしても、心当たりがあるのであれば早めに連絡すべきです。

専門のスタッフが適切なアドバイスや対処法を提供してくれます。

【金融庁/金融サービス利用相談室】0570-0168811

【消費者ホットライン】局番なし188

 

・警察に連絡する、警察署へ出向く

事件性がある場合は、迷わず警察へ連絡しましょう。

相談窓口が用意されています。

【警察相談専用電話】♯9110

最寄りの警察署へ出向き、被害状況を伝えるのも有効です。

その際は、詐欺被害について書き出した情報を準備して行きましょう。

 

 

■まとめ

今回は、仮想通貨詐欺について、その手口や詐欺被害に遭わないための対策、対処方法について解説しました。

仮想通貨は、ブロックチェーン技術が用いられた安全性の高い通貨です。

しかし、値動きの幅が大きく、短期間で資産爆増が可能なため、投資詐欺に利用されやすい通貨でもあります。

投資は、確実に儲かるものではありません

もし、仮想通貨に興味があり、取引を検討しているのであれば、この記事を参考にきちんと調べたうえで取引を開始しましょう。

また、仮想通貨詐欺に遭遇した場合は、個人でプロの詐欺師と交渉・返金までさせるのは非常に困難です。

早めに法律事務所や警察へ相談することをおすすめします。