近年、お金をだまし取る詐欺事件で急増しているのが投資詐欺です。
政府が投資や資産運用を推奨し、メディアでも多く取り上げられている背景から、投資に関心のある人が増えています。
投資未経験者・初心者、お金に困っていて効率よく稼ぐ方法を求めている人は、投資詐欺のターゲットになりやすいでしょう。
今回は、投資詐欺の特徴と投資詐欺に遭った場合に返金してもらうにはどうしたら良いのかをまとめました。
現在投資の誘いを受けている人、「投資詐欺に引っかかっているかもしれない」と心当たりがある人は参考にしてみてください。
■投資詐欺とは?
「確実に儲かる」などの言葉で資金をだまし取られ、お金を渡した相手と連絡が取れなくなってしまうような事件を投資詐欺といいます。
預けた資金がどうなったか全く分からないという場合もあれば、2,3回利益が振り込まれたものの、その後は連絡が取れなくなって資金を持ち逃げされたという場合もあります。
お金を預けた後、実際に運用されたかどうか判断できないこともあるでしょう。
投資実績を見せてもらったとしても、それが本物であるか初心者には分かりません。
順調に儲かっていると安心し、さらに追加で資金を預けてしまうという被害者もいるのです。
実際は全く運用されることなく、詐欺師の遊興費や犯罪組織の資金として利用されている場合もあります。
本来投資は自己責任で行われ、自分で投資商品を選んだり証券会社を決めたりするものです。
いくら相手が専門家を名乗っていても、安易に他人がすすめるまま投資をしたり、他人にお金を預けたりするべきではありません。
しかし、「私に任せれば絶対に儲かる」という言葉にだまされ、実体のない投資話に乗ってしまう人は多いです。
自分がどんな投資をしているのか、どこの証券会社で資産運用しているのかよく分からないという人もいるため、この場合は被害者にも落ち度があると言えるでしょう。
■投資詐欺の手口は?SNSやマッチングアプリに要注意
投資詐欺はSNSやマッチングアプリ、セミナーなどでも引っ掛かる可能性があります。
・SNSの投稿がきっかけで…
インフルエンサー風の人物による「フリーターだった私がこんな生活ができるようになった!」という投稿も多く見られます。
背景には高級ホテルで過ごす様子やハイブランドのバッグが映っており、羨ましいと思ってしまうでしょう。
投稿には「こんな生活ができる理由はDMで聞いてね」と書いてあります。
LINE IDを掲載している場合もあり、ここから連絡を取って投資詐欺にだまされてしまう人もいます。
そして、直接DMやLINEでやり取りするようになると、投稿者から
「バイナリーオプションで月10万円以上稼げる」
「まだ誰も知らない投資話がある」
と勧誘されます。
そして
「資産を預けてくれたら代わりに運用する」
「この投資ツールに登録すればすぐに利益が手に入る」
などと言われ、相手の言う通りにしてお金をだまし取られてしまうのです。
・マッチングアプリで知り合った人に…
マッチングアプリでは、ロマンス詐欺から投資詐欺へ発展するケースが多く見られます。
メッセージのやり取りで意気投合し交際をすることになったという人や、まだ実際に会っていないのに結婚話をされる場合もあります。
その時「2人の将来のために投資をしよう」と言われたら、要注意です。
相手がすすめる投資話に乗ったり、代わりに投資してあげると言われ資金を預けたりすることで、金銭をだまし取られてしまいます。
お金を振り込んだ途端、全く連絡が取れなくなる可能性もあるでしょう。
・情報商材で投資詐欺に遭うパターンも
資産運用のセミナーに行ったら「マニュアル通りに投資すれば必ず儲かる」と言われたというケースもあります。
株式投資マニュアルやFXの自動売買ツールなどの情報商材は、購入してから実際に使ってみないと効果が分かりません。
インターネットで見つかるような無料でも得られる情報が集約されただけのマニュアルを買わされる場合もあります。
数万円から数十万円という高額な代金・利用料金にも関わらず、全く役に立たないロジックが搭載されているFX自動売買ツールも存在しています。
返金や中途解約を求めても、
「契約時に返金はできないと説明したはず」
「中途解約する場合は解約金が必要」
と言われて、泣き寝入りする人もいるでしょう。
■こんな言葉は詐欺!投資詐欺を見分けるNGワード
投資を考えている人に知ってほしいことは、「この世に絶対に勝てる・儲かる投資はない」ということです。
どんな投資商品にも一定のリスクがあり、メリット・デメリットが両方存在します。
相場によって勝つこともあれば負けることもあるというのが投資の基本であり、「必ず勝てる」という言葉そのものが詐欺なのです。
例えば、下記のようなワードを使う相手は信用してはいけません。
・必ず儲かる、必ず稼げる
・年利○%は確実
・絶対に月○万円は受け取れる
・元本保証
・あなただけに教える情報です
・今株式を買ってくれたら、あとで必ず高く買い取ります
・損失を補填するので、この投資商品を買ってください
・現金を郵便で送ってください
本物の投資専門家であれば、このような言葉で勧誘することが違法であると知っています。
投資家を名乗っているのに、「必ず・絶対・負けない」というワードを使っていた場合は詐欺であると判断しましょう。
■投資詐欺師の特徴は?
投資詐欺を行う人物は、身なりが良く誠実な人柄に見える場合も多いです。
元銀行員である、金融会社で働いているので投資に詳しいという話をしてくることもあります。
会う場所に高級ホテルを使ったり、ブランド物のバッグや時計を身に着けていたりするのは、投資で儲かっているというイメージを持たせるためです。
SNSでは裕福な暮らしを匂わせる画像を多く投稿し、説得力を持たせています。
これらの特徴がある人物から投資話を持ち掛けられたら、詐欺かもしれないと疑いましょう。
知人や友人から投資詐欺に遭う可能性も0ではありません。
どんな人物であっても相手の話を鵜呑みにせず、自分で投資商品や証券会社について調べることが大切です。
■投資詐欺に遭ったらどうすれば良い?
お金を振り込んだ後で投資詐欺かもしれないと疑った時は、まずクーリング・オフができるか調べましょう。
その後、必要に応じて警察や弁護士へ相談します。
①クーリング・オフ
契約後、一定期間内では条件に応じて解除することができるという仕組みです。
投資の場合は、次のような取引形態によってクーリング・オフできる期間が決まっています。
・訪問販売
家庭訪問や職場訪問、街頭でのキャッチセールスなど、営業所以外の場所で契約をした場合は、法定書面を受け取った日から8日間クーリング・オフが可能です。
・電話勧誘
電話による勧誘を受けて契約した場合も、法定書面を受け取った日から8日間がクーリング・オフ期間となります。
取引の種類によっては、クーリング・オフができない場合もあります。
まずは相手方と連絡が取れるか確認しましょう。
②警察に通報する
相手と連絡が取れない、どこに登録・契約したか自分で確認できない場合は、詐欺である可能性があります。
また、クーリング・オフに応じない業者も存在します。
警察に被害届を提出して、詐欺被害に遭ったかもしれないと相談しましょう。
ただし、証拠が十分でないと被害届が受理されず、捜査してもらえない場合もあります。
同じように被害に遭った人がいれば、詐欺事件として立件してもらえる可能性が高まるでしょう。
③法律事務所に相談する
警察に相談しても、返金のための相談には応じてくれません。
警察は詐欺事件が刑事事件であると判断される場合に、犯人を逮捕するための捜査をする機関です。
被害金の返金については、法律事務所に相談しましょう。
投資詐欺に詳しい弁護士が在籍していれば、スピーディーに返金してもらえる可能性があります。
法律的なアドバイスも受けられるため、まずは電話やメールでの無料相談窓口へ連絡してみてください。
■投資詐欺でだまし取られたお金は取り戻せる?
投資詐欺に遭った被害者には、契約の解除や被害金の返金を請求できる権利があります。
民法上、錯誤または詐欺によって投資の意思決定を取り消すことができると定められているからです。
相手方の故意または過失によって損害が発生している場合は、損害賠償責任を求めることもできます。
例えば「必ず儲かる」と勧誘したり、投資のリスクなどの説明するべき事項を省略して勧誘したりした場合は、不法行為が成立する可能性が高くなるでしょう。
約定通りの配当や払い戻しがされなかった場合は、投資契約違反を問えることもあります。
相手方に債務不履行が認められれば、投資契約を解除して全額返金も可能です。
しかし、一般の人が詐欺や不法な投資契約であることを立証するのはかなり難しいでしょう。
そこで弁護士や法律事務所の出番です。
法律事務所に相談すれば返金してもらえるケースも多く、投資詐欺で泣き寝入りする必要はありません。
■どうやって返金してもらうの?
投資詐欺の被害金を返金してもらうには、相手方に対して協議を申し入れたり、返金の請求を行ったりする必要があります。
具体的には次の手続きを行いましょう。
①詐欺師・詐欺業者に協議を申し入れる
相手方の連絡先が分かる場合、返金してもらいたい旨を直接伝えます。
協議を求めることで、トラブルの拡大や警察への通報を恐れた業者が早い段階で和解に応じる可能性があるでしょう。
ただし証拠がなかったり、投資を持ちかけた人物と連絡が取れなくなっていたりすればしらを切られてしまい、この時点で返金してもらうのは難しい場合もあります。
②支払督促を申し立てる
相手方が返金に応じない場合、裁判所に支払督促の申し立てを行います。
裁判所から詐欺業者に対し、被害金の返金を行うよう督促してもらうのです。
督促を受けた相手は2度の異議申し立てが可能ですが、これが行われなかった場合は強制執行の手続きができるようになります。
支払督促は訴訟よりも簡単ですが、強制力があるため被害金の返金請求にも有効です。
③訴訟を申し立てる
支払督促を行われた詐欺業者が、裁判所に対して異議を申し立てる場合があります。
そうなれば被害金の返還請求は訴訟を通じて行うこととなります。
④振り込め詐欺救済法により救済を受けられる可能性も
投資詐欺にだまされて相手方の口座にお金を振り込んでしまった人は、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)」による救済を受けられる場合があります。
この法律が適用される事件については、詐欺業者の預貯金口座を凍結し、取引を停止することが可能です。
その後債権失権の公告や分配金支払いのための公告を経て、詐欺業者の口座残高から被害者への返金が行われます。
投資詐欺による被害金を返金してもらうには、返金を求める根拠や、詐欺に遭ったという証拠を提出しなければなりません。
手続きには専門知識が必要となるため、法律事務所に相談するのが一般的です。
できるだけ早く手続きを行うことで、返金される額も多くなります。
警察への届け出や法律事務所への相談はもちろん、振込先の金融機関に対してもとにかく早く連絡しましょう。
SNSで見かけた投稿にだまされた、マッチングアプリで知り合った人物にだまされたという場合は、相手がどこの誰であるか分からない可能性もあります。
法律事務所なら弁護士の職権を行使して詐欺師や詐欺業者を突き止めることも可能です。
警察が取り合ってくれなかったからといって諦めず、投資詐欺を疑ったらできるだけ早く法律事務所に相談してください。