9月1日(土)
今朝は元気そうである。聞くと夜はちょっと熱があったが、朝になって下がったようだ。布袋の曲を聞かせる。
午後になって、シャント術の絆創膏が取れた。これで、頭には何もなく見やすくなった。
午後の検温では、35.9度。氷枕も取ってもらう。
9月2日(日)
今朝は、ちょっと熱があるようだ。ただし、動きは良い。いつも手をおなかの上に置こうとしている。触ると、硬くなってしまう。自分で痰を出そうとするためか。医者によれば、おなかの動きが悪いので、まだお茶をもらうことができない。
僕の呼びかけに反応して口をパクパクするが意思を伝えることはできない。Yさんがお見舞いに来てくれ、ウナギ寿司をお土産にいただく。
9月3日(月)
おなかが膨れている原因を明日検査するという。今日気がついたが手の動きが少し変化している。足は、左だけが指まで動いているが、手は左右の動きが良く似ている。違いは左が握り返してくれるが、右は握ると胸の上に持ち上げようとすることだ。指がきちんと動いていないのだ。気になっている。
9月4日(火)
今日は、熱もなく、動きも静かだ。こんなに変化のない日々ははじめてだ。何かの前触れのような気がする。良いか悪いかはわからない。手の動きも足の動きもわずかだが出てきた。何とか良い方向に向かってほしいと思う。明日検査すると医者が言った。
9月5日(水)
帰りがけに、着信履歴を見ると病院から何度も電話があった。驚いて、架けてみると、シャントの出口が腹膜を超えて皮膚の近くに髄液が漏れ出しておなかが膨れているという。出口をもっと中の方にずらす手術を行うという。最初聞いていたときは、出口は問題ないということだったが、医者が「こんなことないのですが。」といったが頭にきた分で「家族が異常を見つけて、看護士に知らせないといけないのですね。」と嫌味を言ってやった。
T子自身は、術後、また少し動きが良くなったようだった。
仕切とお腹をさする。まるで早く食べられるようにしたいという意思表示の様だった。
少し安心して帰宅した。
9月6日(木)
シャント術の出口が改善したせいか、手足の動きが活発化している。左手を握ると握り返してくれて、離すまいとする。ジーンとなる。
明日からまた、お茶の再開が決まった。これで回復への道が一歩踏み出した感じである。昨日、あれだけ頼んだのに、右手に点滴したせいで、パンパンにむくんでいる。少し擦ってあげると、最初は嫌がったが、だんだんむくみが取れてきた。それでも、左手と比べると、1.5倍ぐらい太い。まあ、うれしいので今日は飲むぞ!?
9月7日(金)
今日来て見ると、胸に張り付いていた計測用のパッドが取れている。右手は熱く、むくみがまだひどい。医者曰くには、動きが悪いのでどうしてもむくむのだそうだ。熱は全体としてあまりないようだ。あくびが何度も出る。手を握ると、しっかりと握り返してくれる。気のせいか、ゆったりとしているように見える。
医者は、今後の見通しとして、あまり回復は期待できないといっている。こちらとしては、何も考えることなく、T子を見守るだけだ。
お茶が入るときに、おなかの様子を聞いたが、胃が動いているような音がしている。今度は大丈夫のような気がする。
9月8日(土)
今日は熱もなく、元気な様子。
布袋の音楽を聞かせると、足でリズムを取っている。驚き?!
右手のむくみも取れ、良かった。熱は、36,7度。この上ないくらい元気。後もう少しだが、油断は禁物だ。
昼から、思いかけずに流動食が出た。完食できるか、その後戻さないか心配したが、一時間後、案の定、全部戻してしまった。頼んでもいないのになぜ急ぐのだろうか。早く退院させたいのか?
お茶だけでしばらく様子を見る。お腹はゆっくりと消化できるようにしたい。まあ、長い目でみてください。
9月9日(日)
朝来て見ると、夕方に熱が出たようで、氷枕になっていた。朝の計測では、35.9度だった。お茶の吸収が悪そうなので、看護士に聞くと、胃腸はわずかながら動いているので、ゆっくりとならお茶も入っていくようだ。ちなみに昼のお茶は大丈夫だった。
手足の動きは活発だ、特に左右の手は胸あるいは右の乳首下まで動く。何をするのかといえば、乳首の下を掻いていた。痒いのだろう、そうなにぶん風呂に入っていないもの。まったくひとつ駄目ならひとつはいい事がある。まあ、人生と同じか。
9月10日(月)
昨日はいろいろ考えすぎて、よく眠れなかった。
仕事帰りに病院によると、酸素吸入の管が外れている。よく見ると、外したのだ。自分自身で呼吸できるようになったということだ。一歩前進のような気もする。ただ、微熱があるので油断はできない。手が動きすぎるので手袋をさせられている。
今後を考えると、意識が戻っても、言葉や感情表現ができるのか疑問だ。僕の思いとしては、せめて車椅子で移動できればいいと思っている。それだけで充分なんだ。
9月11日(火)
今日夕方仕事帰りに行くと、手袋をされていた。左手がかなり動くためだ。手を握ると何か言いたそうに口をパクパクする。
夕食時のお茶を飲むが、ほとんど戻さずに飲むことができた。これで流動食が近くなったかな?
先日より、気になっていることがあって、それは感情表現ができるかどうかだ。前回、水頭症が出る直前には、ちょっと感情表現ができたところがあったが、今回の回復過程ではそれが見られない。それと言葉だ。言語障害が出るとかなりコミュニケーションを執りづらくなる。
なんとしても、車椅子で移動できるまで、T子には頑張ってもらおう。それだけだ。
9月12日(水)
今日来て見ると、熱もなく元気だった。2日続けて平熱なのは初めてだ。両手、左足が良く動く。左手は、襟をつかんで何をしようというのか?そして、2本指を立てる。
左手は、握ったりするが、右手はあまり動かないが、感情を出せるのは右手のようだ。
9月13日(木)
 今日も熱はなく、ゆったりしている。元気がないなあと思っていたが、お茶が入った後は、手足が元気に動く。
 帰り際には、僕の手を握り締めて、帰るなと合図を送る。嬉しいような、悲しいような瞬間だった。
9月14日(金)
 今日も平熱で、手足の動きは良い。左手で乳首を触ろうとするので、よく見ると垢が浮いているところを掻いている。看護士に頼んで体を拭いてもらう。
 やっとゆったりとした表情になる。気持ちよくなったかな?
 医者によると、今鼻から通っている管は、今後胃に直接管を通して栄養投薬を行うことになる。そのため、火曜日に胃カメラで調査するという。
結局はその後の看護病院に転院するための布石か?
9月15日(土)
今朝、足が意味を持って動いているので見てみると、足の裏が垢でぼろぼろになっている。
それも、かなり忙しく動いている。これは痒そうだなと思って、クリームを塗ってあげた。
 それでも、痒いらしく足を動かしている。よく痒いときに、左足を右足に擦り付けている。風呂に入れないのでしょうがない。それまで我慢してね。早く目が覚めてくれと祈った。おかげで、食事前に38.5度まで熱が上がった。氷枕で冷やして、37.4度まで下がるとまた手足が活発に動き始めた。
9月16日(日)
今日も元気に手足が動いている。認識が悪いといっていたが、右手がトリガーになっているようだ。熱はあまりなく、36.5度だった。
もう少しで目を開けそうだが、この一歩が遠い。
今私の気力が落ちているので、先を急いでいるようだ。反省しながら見守ることにしよう。久しぶりに時間をかけて、T子の手を握ったような気がする。T子のリラックスした表情を見た。今まで本当に余裕がなかったと思う。帰りがけにシャントの出口が張っているのに気づく。看護士に言って明日医者に見てもらう。気のせいか熱も出てきたようだ。すごく気になるが、どうにもできないのであきらめて帰宅する。
 9月17日(月)
昨日気になった、お腹の腫れは前回、表面に漏れ出したシャントの出口が残した残骸のようだ。
その証拠に今日もしっかりと握り返してくれる。医者の話では、右に障害が残っているので、言葉がおそらく出せないのではといわれた。また、熱が出るのは熱を管理する機能が働いていないためではないかという。いずれにせよ、意識が戻らないと駄目な様である。今日の検温では、35.5度だった。氷枕をはずしてタオルの枕に代える。
昨日から落ち込みそうになった気力をまた、取り戻してT子が戻ってもいいように部屋を掃除する。3ヶ月かかるといわれたのだ、待つよ。 
9月18日(火)
昨日寝る前に、ネットで見た記事が印象的だった。聴力が最後に消え、最初に復活するという記事だ。そこでは、音楽を聞かせる、話をする、簡単な命令をするということだった。
今日は、熱はあるようで元気がない。胃カメラの結果も気になる。でも、手足は良く動いている、痰が絡んでゼイゼイ言っている。苦しそうだ。見守るだけなのでがんばれとしかいえない。
よく見ると、右足がちょくちょく動く、それも痙攣的でなくリズミカルに動く。これは良いことのような気がする。
9月19日(水)
今日は,IBM時代の友人がお花を持ってきてくれた。
今日は熱もなく、元気だ。熱もあまりなく、手をきっちりと握り返してくれる。明日から流動食が開始される。胃の動きはあまり良くはないが、徐々に良くなるだろう。
9月20日(木)
今日は、初めて風呂には入れるとのこと、よかったね。風呂好きのT子には何よりのことだ。夕方見舞いに行ったら、やはり風呂疲れか、熟睡していた。いいことだよね。
9月21日(金)
今日は疲れたのか、あまり元気がない。だが、医者がしゃべっていたのだ、だから知らないそぶり。やはり、信じない人にはいい顔しないという、インターネットの話は本当だ。
今日も、しっかり握り返してくれた。24日からは、流動食が2倍に増量される。とにかく何でもいいから元気にならないとね、T子、待ってるよ。
9月22日(土)
今日は少し熱が出た。37.7度。
何か音がするので、聞いてみると、喉から声を出している!すごいぞT子。
今日は午後から、協力隊でフィジーに来ていた、N美さんファミリーが見舞いに来てくれた。T子はなんとなく子供がいるのがわかったのだろう。あまりうれしくない様子。でも、きてくれたことがうれしいよね。彼女が消息のつかめないS君を誘って見舞いに来たいと言ってくれた。
しかし、一番びっくりしたのは、掃除のおばさんや、ヘルパーさんたちが僕を見ているということだ。彼女たちは僕が週末は必ず来ていることを見ているのだ。変なことはできないなと思った。

9月23日(日)
昨日、点滴を右足にしていたのに今日になったら外れてしまったらしい。結局また右手に逆戻り。
だが、今日は初めて手を握ってと要求してきた。握るとしっかりと握り返してくれた。顔にも何か言いたいような表情が出ている。
午後戻って来ると、流動食を戻したらしい。それでT子は乳児のような匂いがした。
何とか食事を取れればと思うがなかなかうまくいかないものだ。