サバイバルゲームは生き残りをかけて敵と戦ったり障害を乗り越えたりするゲームだ。典型的なのは「将棋」で、相手の王将を倒し自分の王将を生き残らせる。しかし敵と闘うばかりがサバイバルゲームではない。敵のいない無人島や漂流で生き残るのもサバイバルだ。

私は「闘病」という言葉が好きではない。現実に「がんと闘っている」という実感はない。5年で95%が死ぬのだから敵(がん)を倒すのは難しく、自力でできることはあまりない。闘ってみても結局空回りでしかない。

だから私の場合は「5年間を楽しく・・・がんを趣味として生きていく」というのが目標だ。そこから先に何かあるのなら、それはまたそのときに考えればいい。そう、たとえばひとつ小説を書き終えたら、次の小説か随筆の執筆に取り掛かればいいだけのことだ。

 

野球に譬えてみよう。相手チームを倒すことを目標にするのではなく、9回まで楽しくゲームすることを目標にする。

1回の表、いきなり4点を先制された(肺腺がんステージⅣの宣告があった)ところからゲームが始まった。

2回の裏、1点返した(ジオトリフが効いた)がそれ以上続かない。2点返せたら(長続きしたら)よかったけど・・。

3回の裏、1点返した(タグリッソが効いた)がやはり後続が続かない。やはり反撃が長続きしない。

5回の表、1点追加された(増悪転移が見られた)

6回の裏、好機を逸した(パクリタキセル・カルボプラチンが効かない)。

7回の裏、1点返した(テセントリク・アバスチンが踏ん張った)。

「闘い」と思えばこれは「一進一退」だが、「がんに関する知識を獲得する」「生活を楽しむ」ということでは「充実」だった。

 

今、がん発覚から3年3か月が経過している。テセントリクの効果が継続してきたら、9回裏同点(5年生存)は見えてくる。