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「写真の山芋のどこがど根性なのか?」と指摘されそうだが、写真では説明しにくいので文章と併せて御理解願う。

これは我が家の北側の壁(基礎)際の東の端近くに生えていたものだ。この辺りはじめじめしていて暗いのに、毎年のように山芋が発芽する。確かに我が家には山芋が自生しているが、それは家を挟んで反対側にあって、とてもその芋のむかごが落ちて自生したとは思えない。唯一ありうる推理としては鳥が運んだということであろう。この真上に2階の雨戸のレールがあって、そこに鳥が停まっているのをよくみかける。昼でも雨戸を閉めていることが多いので、レールは休憩用?にいつも空いているというわけだ。南側で実を食べた(丸呑みした)鳥が未消化のままここで糞をしたその中に入っていたのであろう。

今までは気付くたびに掘り上げて移植していた。今回もまたいつの間にか生えていたのだが、元気がいい割りに短くて先っぽがない。あれ?どうしたのかな。

そして蔓が貯湯タンクの筐体の中に入り込んでいるのを発見。スカート部分を覆うカバーのほんのわずかな隙間(茎の太さとほぼ同じ)から入っている。近くの点検窓を開けてみると、中の配管を伝って上に向かって伸びているではないか。慎重に、慎重に蔓をほどきながら外して根を掘った結果を写真に撮った。

外にある部分は50~70センチ、中で伸びていたのは1メートルくらいあった。地下の芋は成長し始めていて3センチほどになっている。1年目のものは地下にはむかごとひげ根しかないので、これはおそらく2年目であろう。この調子だと食べられるまで5年はかかりそう・・・。昨年庭で掘って食べた芋は推定7年以上ものだった。今回のものは外の茎はしっかりしていて葉もしっかりしているが、筐体の中の茎は白っぽくて葉が育っていない。一番先のほうは枯れていて、別の蔓が伸びようとしている。タンクの上のほうは当然しっかり密閉しているので出口はないのだ。あてのない天空への旅に出た蔓はここで力尽きようとしていたのだ。

それにしてもなぜわざわざ光のない真っ暗闇を選んで伸びようとするのか? 光を求めているのではないのか?という疑問が湧く。以下は、植物学者ではない素人の推理・・・。

山芋など(自然薯)は鬱蒼とした森林の中で育つ。ということは、生えた地面の辺りから数メートルは陽光は期待できない。しかし立派な芋を作るためには陽光が不可欠だ。そこで山芋は、光がなくても「重力に逆らって」上に上にと伸びるのだ。しかし上に伸びるためには「補助」が必要だ。当然山には沢山の木が生えているので、これに巻きつきながら上を目指す。しかし、補助の木も何もないところで発芽した「ど根性」山芋はどうやって貯湯タンクの穴を見つけたのだろうか。確かに上に伸びるためにはこれしか方法はない。高知のN村さんの仮説「芋の蔓には目がある」というのもうなづける(笑)。

南側の庭にある5年ものの場合、地上部は毎年秋になると枯れてしまい(どこにあったのかも分からなくなり)春になると発芽する。1、2年目の頃は地面に近い部分にも葉が付くが、3年目以降では比較的丈夫な茎が葉を付けずにひたすら上を目指す。そして生垣の上に出て、しばらくしてから葉を付け始めるのだ。そしてこれを毎年繰り返して芋が成長していく。地面に近い部分より上のほうの茎の方が太くなる。おそらく動物などに食べられないように目立たないようにしているのだろう。

貯湯タンクの中を「無闇」に伸びていた山芋は「ど根性」なのか、「お馬鹿」なのか・・・いずれにしても可愛そうなので畑に移植しておいた。元気になったら数年後には食べられる運命だけど・・。