Aが私に残したものの中で嫌いになれずにいるものがある
それは映画
Aと出会うまでも映画は好きだったが、Aと付き合ってからさらに好きになった
Aと映画を観ることが好きだった、と言った方が正確なのかもしれない
いや、Aの居ない今も好きだ
私たちは映画で繋がれる気がする、だから今も好きなのかもしれない
それは全て気のせいで、私がひたすら映画が好きなだけかもしれないけど
ラブストーリーや、少年少女たちが奮闘する物語、薬物中毒者しか出てこない物語、しょうもないコメディ、逃避行
好きになるきっかけをくれたのは全てAだ
好きな映画を見つけたら、まだAに教えたくなる
Instagramのストーリーで好きなシーンを載せて
Aに伝えた気分になり、満足してる私は凄くむなしい
それが、今の私にできる限界だから
Aは今なにを考えてるんだろうか
どんな映画を観て何を思い出すのだろうか
どんな写真をみて、何を思っているのだろうか
私はそれを知る術もなければ権利もない
その事実は、私を追い込む
時々死を考える、時々じゃないかもしれない
Aと観たい映画はまだあった
いつか観れると思っていた、その映画が上映されても、私は映画館に足を踏み入れることは無い
映画館に行ってその映画を観れば、隣にいるはずのAが、居ないことを体感してしまうから
新宿にある私の好きな小さな映画館にはきっともう当分行けないのだろう