日本全国津々浦々、
北は北千住から、南は南大沢まで、
全国には1万軒以上のパチンコ店がございます。
当然、来店されるお客様の中には、
地域によっての多寡はあるものの、外国人の方もいらっしゃいます。
ちなみに私の勤務する「パーラーパックンフラワー(仮名)」も、
本業のカレー屋をおろそかにしてジャグラーを打っているインド人、
仮面ライダーしか打たない、一晩に8発ぐらい頑張りそうな絶倫イラン人、
余り玉で大量のヤクルトをテイクアウトするアジアンビューティーなど、
そこそこ外国人選手枠の層は厚いのですが、
中には、日本語が全く通じないお客様もいらっしゃいます。
本日はそんな当店において先日遭遇した、
とある中国人(たぶん)のお客様と私のお話をしたいと思います。
それはある晴れた日の午後。
ウチのアルバイトスタッフから、
「砂肝さん、お客様が何を言ってるのか全くわかんないッス・・・」
というSOS信号が発せられました。
私が急いで駆けつけた先には、
花の慶次に座ってエビシューマイのようにプリプリ怒っている、
数年前話題となった「引越しおばさん」ソックリの中年女性がおられました。
その風体を見ただけで、今回の交渉は容易ではない。
最悪、私が引っ越さねばならないな、と思いました。
少しビビりつつも、
なにわともあれ話をしてみなければ始まりません。
私は百万ウォンの笑顔で、
「どうかなされましたか?」
と尋ねました。
すると彼女は現役時代のラモスのように激昂しながら、
「ナナ!!タリナイ!!ナゼ!? ヒライテ!!?」
と、片言の日本語で私に苦情をぶつけてきました。
これだけ聞いた上で私は、
「星井七瀬は何故ブレイクしなかったのだろうか?」
という文句を言われたように感じたのですが、
「それは無い、あとその件については事務所の売り出し方の問題」
と2秒で考えを打ち消して、
再度おばさんの様子をうかがっていると、
彼女は「花の慶次~斬」のシマを指さして、首を傾げました。
ここで私はピンと来ました。
彼女が座っているのは「遊パチ」の花の慶次。
すなわち、
「なんでこの台は玉(ラウンド数)が少ないの?
あっちの台(慶次~斬)ではちゃんと出たのに!!」
と言いたいのだ、と。
さて、そこまではわかったものの、
それを日本語で伝えるのは難しいな、と思いました。
「これはそういう台で、あっちの台とは違うんですよ」と言ったところで、
上手く伝えられるとは思えません。
そこで私は、
「コレ、甘(アマ)!! 甘!!」
(日本語訳:これは甘デジです。地デジは対応していません)
と、チャイニーズ引越しおばさんの耳元でシャウトしました。
すると彼女は便所に60ワットの電球が点灯したかのような表情で、
「アー!! アマ!? アマ!!」
と叫び、険しかったその表情は、
笑顔・安心・隣人への抗議感を取り戻しておりました。
「これにて一件落着」
私は日中の国交を回復させた田中角栄のような気分で事務所に戻り、
お客様へのクレーム対応マニュアルに、
「お客様が何を言っているかわからない場合は、相手の身振りに注目せよ。
それでもわからなければ、勢いで何とかしろ」
という一文をつけ加えましたとさ。
めでたし、めでたし。