実際に恋に落ちてみたいシチュエーション ブログネタ:実際に恋に落ちてみたいシチュエーション 参加中
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バナナに緑色のシールを貼っていくという仕事を終え、

自宅(一刻館)に戻る前に、珍しくゲーセンに立ち寄って、

デフォルメ美少女キャラの付いたキーホルダーを落とすマシーンに挑戦したり、

プリクラを撮っている女子高生のふくらはぎを凝視したり、

ロリ系脱衣麻雀で軽く股間をムズムズさせた後で、ふらりと立ち寄った古本屋。


「名古屋淫猥物語~シャチホコを跨ぐ人妻」という官能小説を手にとり、

会計に向かい、スーツの内ポケットからガマ口を取り出そうとしたその瞬間、


「あれ・・・もしかして、砂肝クン??」


ふと、カウンターに座っていた、三つ編みの妙齢の女子が、

川澄綾子ヴォイスで話しかけてきた。


「え・・・え!!? も、もしかして、カナコちゃん!?」


カナコは、小学校時代の同級生である。

当時住んでいた家も近所で、

よく一緒に公園でたき火をしたり、

学校の帰りにファンタの一気飲みをしてお互いに具合が悪くなったり、

一緒に図書館へ行って、辞書のいやらしい単語に赤鉛筆で線を引いたり、

自転車に二人乗りして、自動販売機に激突したりした事のある、

大の仲良しの女のコだ。


卒業間近になると、別々の中学校へ進むのが寂しくて、

彼女の縦笛のヘッドを舐めまくったり、

体操着のニオイを嗅ぎまくったり、

彼女の座っているイスに頬ずりをしたりと、

モヤモヤした感情を間接的にぶつけていた、あのカナコである。


「やー!すっごい久しぶりだね!

てか、あの頃とあんまし変わってないよね!

その安っぽい、フレームがちょっと歪んでるメガネとか、

上戸彩目当てで紳士服のAOKIで買ったような安っぽいスーツとか、

5千万ぐらい借金を抱えたユースケ・サンタマリアみたいな、

覇気の無い顔とか、

あの頃の砂肝クンを、


水分を与えないでそのまま大人にしちゃったみたい!!」


実に的確に僕の現状を言葉に変えるカナコ。

こんな美女に成長していなければ、僕は迷うことなく、

バールのようなもの(というか、バールそのもの)を、

彼女の股間に挿入していたであろう。

だが、目の前にいるかつての僕の憧れの少女は、

20代の深津絵里が田舎の役場で12年ぐらい勤務した後で、

リハビリ代わりに半年ほど秋葉原の石丸電気のパソコン売り場で働いたような、

誠実さとお茶目さをかき混ぜたような顔ではしゃいでいるだけだ。

もっと驚いた顔をしてもいいのに、今はもう余裕すら感じさせる微笑を湛えて。

まるで、今日という日に、僕と再会するために、

この場所にいるのが当たり前のように。



「ちょ・・・、え!?マジで!?


ど・・・どうして!!!?」

あまりにも突然過ぎる再会に、僕は上手に言葉を紡ぐことができない。

ただ、狼狽している理由はそれだけではなかった。

彼女があまりにも美しく、そしてわずかな幼さを残していたからだ。

所謂、ドストライクゾーンちゃんにジョブチェンジしちゃっていたからなのだ。


うろたえる僕の姿を彼女は、ペコちゃんのような天真爛漫な笑顔を向けて、

声も立てず、ただクスクスと笑っているだけだった。

カビ臭い、16畳程度の狭い店内で、薄化粧の彼女の白い肌は、

今にも潰れそうな和菓子屋の大福餅のようで、

「今、僕が食べなきゃ、もう後が無いっ!!」

と思わせるのに十分だった。


「口説くっきゃないっ!!」

僕の心の中の土居たか子がそう叫んだ。

天使の舐めかけた黒飴のような丸く、大きな瞳を見つめながら、

僕は駅前留学で培った英語でカナコ(東村山出身)に囁きかける。

「アイラビュー、アイニジュー、アイウォンチュー、サルゲッチュー。」


僕の交尾狙いのその決めゼリフで、彼女はその瞳をさらに大きく、丸くさせる。

「ダメだよっ。そんなコト、誰にでも言ってちゃ。」

小学生の頃に、ふざけ半分で言った言葉を思い出す。

僕は彼女に、小さな告白をしていたのだ。

「大きくなったら、カナコと一緒に暮らすんだ!」

その時と全く同じセリフを、彼女はあの頃と少しだけ違う甘いニュアンスで、

僕に渡してくれた。


その刹那、僕の理性が消滅した。

痩せた草食動物を思わせるカナコの身体を、余すところ無く弄ぶため、

僕は、カウンターに座っている彼女に飛びかかる。

律儀に束ねた三つ編みを無造作に解くと、

あの頃と同じのままの長い黒髪が、緩いウェーブを描いて僕の手の中で踊る。

「や・・・ダメだって・・・こんな・・・ところじゃ・・・ら・・めぇ・・・」

途切れ途切れに聞こえる息まじりの嬌声。

そんな事などおかまい無しに、僕の手は暖かな滑りを求め続けた。


歪んだ空間の中で、僕の目は眩む。

二人だけのこの小さな世界は、

現実とはまるで逆の時間を遡る。

薄汚れた大人の世界の現実は、少年時代の小さな淡い思い出を、

鈍色のクレヨンで塗りつぶしてしまった。


やがて、闇に呑まれた僕の身体を閃光が包んだ。

僕は眩しさを堪えつつ、氷を溶かすようにゆっくりと目を開いた。

寝汗まみれの身体で手を伸ばし、

必死に枕元の時計を探した。

だけど、何故だかどこにも見つからなかった。

まだ僕は、時の流れの中を彷徨わなければならないのか?

そして僕はいつになったら、時計の針を進める事が出来るのだろうか・・・


と思いつつも、何故かパンツの前がねっちょりしていましたとさ。

めでたし、めでたし。