僕が20代前半で勤務していたパチンコ店でのお話。
一般社員でも月5休、週一で通し勤務アリ、という、
遊びたい盛りの20代前半の若者には厳しい条件だったせいか、
入社当時、20人以上いた若手社員は、
1人、また1人と、ボロボロと退職していき、
半年もする頃には、僕を含めても片手で数えられる位に減っていました。
僕は当時、会社の寮に住まわせて頂いていたのですが、
いつの間にか「寮長」という、給与に全く反映されない役職に任命され(笑)、
人員補充で採用した寮に住む若手の代表みたいな立場になりました。
その時、僕が21歳。
新人社員はトシ(20歳)、カワちゃん(19歳)。
トシは体重が100㎏オーバーの巨漢。
カワちゃんは逆に50Kg程度の華奢な男の子でした。
共に、大のパチスロ好きだったため、僕ら「寮組」は、
早番が終わると大抵、スロットを打ちに行っていました。
待ちに待った給料日。
その会社は給料が手渡しだったため、万札がいっぱい入った袋を懐に、
僕ら3バカは、国分寺にあるスロット専門店へ。
そのお店は、設置台の半分が「ニューパルサー」(山佐)。
そしてもう半分が「リノ」でした。
この「リノ」という台。
詳細は省きますが、BIG終了後5ゲーム以内に小役が揃えば、
再びBIGボーナスに突入、という特殊なゲーム性(笑)で、
打っている人達も、あからさまにニューパルと違う方々。
僕は、チェリー付きハサミ目見たさにニューパルへ(←初級者ぶりが伺えるw)、
トシとカワちゃんは、何の迷いも無く、
半数以上が音が出なくなっている「リノ」へ着席しました。
そのシマに座る彼らの姿は、オレンジ色の貯金箱に募金しているようで、
この時点でイヤな予感がしておりましたw
そして数時間後。
「7マソ負けました」と柄本明のような表情で僕に報告してきたカワちゃん。
「今月、どうやって生活すればいいッスかね?」と半泣きのトシ。
ニューパルで1箱出したコインをジェットに流してもらいつつ、
「・・・・・ま、何とかなるんじゃね??」
と、人生の厳しさを教えてあげる、優しい僕。
さらに数週間後。
二人はほぼ時を同じくして、寮から脱走してしまいました。
寮長である僕は、彼らの部屋を掃除するハメにw
部屋に散乱していた多数のエロ本は、所有権放棄とみなし、
僕のコレクションとなりましたとさ。
それから半年くらいして、トシの家に電話したら、
妹さんが、あからさまに迷惑そうな声で、
「・・・今、どこにいるのか知らないんですけど」
って言われました。
あいつら、今何をやってんのかなー。