久々に「ぱち&すろ回顧録」です。
~前回までのあらすじ~
満を持して登場した、初の4号機「チェリーバー」。
その新たなゲーム性の魅力にすっかり魅せられた砂肝19歳。
10代最後の冬に、人生は既に曲がりかけていた。
「チェリーバー」が登場した冬。
僕はもう、完全に専門学校には足が向かなくなっていた。
定期券があるのと、一応の体裁を取り繕うため、渋谷には足を運ぶものの、
朝10時には、決まってパチンコ密集地帯へと吸い込まれていった。
この頃にはもう、スロット→バイト→飲みかボーリング→スロット、という、
ダメ人間生活サイクルが確立されていた。
挙句、「チェリーバー」の新装のために、
当時付き合っていた彼女とのデートの約束をキャンセルしたりと、
もう、メチャクチャ。
それでも日々は楽しかった。
こんなダラダラとした時間が続いていく気がしていた。
それでも決断の時はやって来る。
専門学校の進級のかかったテストさえもすっぽかした僕の元へ、
学校から一本の電話がかかってきた。
僕はその電話で、もう学校へは行かない事を告げた。
それに対する答えは極めて事務的で、
「いずれにしても手続きがあるから、一度学校へ来て下さい」
という簡素なものだった。
学校の事務室には、鈴木宗男に良く似た担任が待っていた。
コイツは授業中にも幾度と無く、自分がいかに優秀な成功者であるか、
というような自慢話ばかりする、嫌なオッサンだった。
またコイツの顔も見るのもイヤだったけど、もうこれで最後だ、とも思えば、
少しは気分も楽だった。
担任は歪んだ笑顔で僕に、
「ヤメてどうすんだ?東大にでも入るのか?」
と、皮肉っぽい口調で訊ねてきた。
僕は、
「まぁ、そんなところです」
と精一杯、強がったつもりだった。
帰り道は、担いでいた重いリュックを降ろしたような爽快な気分だった。
僕は渋谷駅前の歩道橋の真ん中で立ち止まって、
陰鬱な表情で写った顔写真の貼られた学生証をビリビリに破り捨てた。
紙吹雪はまだ冷たい早春の風に煽られて一瞬だけ宙に舞い上がり、
やがて車道へと四散していった。
それを少しだけ顧みた後、階段を駆け下りた僕は、
期待に胸躍らせながらまた、チェリーバーを打ちに行ったのだった。
どこへ行こうという、あてなど無いのに。
~完~
以上で、「ぱち&すろ回顧録」はおしまい。
これ以降、僕の20代が始まって、もうパチンコ&スロットからは、
完全に逃れられない生活に染まるのですが、
書き出したらキリが無いので、今後は思い出深い機種を、
思い立った時に書いていく事にします。
・・・・・ギャグ無しでゴメンねっ♪