2つの銀河が長い巻き毛のようなダストを放出しながら、衝突して一体となろうとしている。このようなダストの尾をたどれば、相互作用によって銀河同士が激突する前の軌道をより正確にモデル化できるという。画像にある衝突中の銀河は“触角銀河”と呼ばれ、地球から6500万光年離れたカラス座に位置している。研究チームはアメリカ、ハワイ州のマウナケア山にあるすばる望遠鏡を使用し、触角銀河の“スリップ跡”をかつてない精度でとらえることに成功した(画像左下)。

 今回の研究に参加したニューヨーク州立大学ストーニブルック校の幸田仁氏は、この様子を交通事故現場に残されたタイヤのスリップ跡に例える。「破壊された車だけを見ても何が起きたのか正確にはわからないが、道路にタイヤの跡があれば、衝突までの過程をたどることができる」と、同氏は9日、カリフォルニア州パサディナで開催されているアメリカ天文学会の会合で語った。

 コントラストが強調されたこの画像から、触角銀河のダストの尾は予想以上に大きく、銀河系の数倍に及ぶことが示された。

 このほかにも、すばる望遠鏡によって既知の銀河衝突12例の際にできたダストの尾も記録された。

 天文学者たちの考えでは、こうした衝突は銀河の形成や進化に不可欠であり、星が次々と形成されるスターバーストという現象の引き金にもなっているという。

 衝突した銀河は多くの場合、1つの銀河になる。最大級の銀河は衝突を繰り返して作られたというのが定説だ。地球が属する銀河系も約50億年後には、最も近いアンドロメダ銀河と合体するのかもしれない。