メタ視点で自分を見すぎて時々混乱気味になるが、通常はいたって真面目で冷静な分析ができる姉が主人公。ビッチな彼女に振り回される弟との超仲良しな関係を縦軸、浮気をして家をでた父親を自分のなかでどう受け入れるかを横軸として描いた青春・家族小説。
全体を通して会話文が多く、何があったか、何が起こったかということより、主人公が何を思ったかということに多くのページが費やされる。それは、現実というのは自分が現状をどう認識するかという「言葉」の問題であるということ。だから何かの出来事が主人公を成長させるのではなく、主人公が思うこと=言葉を積み重ねることがそのまま主人公の成長ということになる。父親の不倫とか自分の失恋とか弟が騙されるとか、さまざまな要因はある。けれど、それをどう捉えるかという「言葉」の選び方によって、主人公の物語=人生が描かれていく。
今までの舞城作品と比べると、いたって普通の家族小説だ。過激で暴走する物語が特徴だったのに、何の変哲もない道具立て。だからこそ派手な展開に目を奪われて見落としがちな舞城王太郎が本来の魅力「文体」の力強さがよくわかる。どういう物語を書くかではなく、物語をどう書くか。この語り口の妙こそ、小説の醍醐味だ。
