『トリツカレ男』いしいしんじ/新潮文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

いしい しんじ
トリツカレ男

読み終えたら、三段跳びがしたくなるという前代未聞の本。

ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミ etc.そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが…。まぶしくピュアなラブストーリー。(アマゾン紹介文より引用)

ホップ!

その寓話的な世界と、助手の役割をする喋れるハツカネズミのキャラクターをみると、どうも僕の大好きな童話「幸福の王子」が入っているに違いないと独自に解釈。

ステップ!

「幸福の王子」といっても、この場合、幸せにするのは不幸な町の人たちではなく、悩みをかかえたペチカただひとり。トリツカレ男はネズミに頼んでペチカの悩みをさぐってもらう。もちろん、トリツカレ男は金箔の衣装もサファイアの目も持っていない。その代わりに活躍するのは、今までトリツカレ男がトリツカレタ様々なものたち。馬鹿なことばかりしていたけど、まさか、そんな事に役立つなんて。

ジャンプ!

そして、普通の人ならとうてい無理なことでも、トリツカレ男は突き進んでいく。ネズミくんが止めたって、走り出したらとまらない。どうしてそこまでするのかというと、それは彼がトリツカレ男だから。なにより、ペチカにトリツカレ、ペチカのために幸福を運んできた「幸福の王子」だから。

もちろん、着地も完璧。



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