『扉は閉ざされたまま』石持浅海/祥伝社ノンノベル | 砂場

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石持 浅海
扉は閉ざされたまま

宝島社の「このミステリーがすごい」第2位。
原書房の「本格ミステリベスト10」第2位。


倒叙式ミステリー(犯人が最初から分かっている古畑任三郎・刑事コロンボ型の推理小説)。

犯人の殺害シーンから物語は始まる事実を明確にする無駄のない描写で、犯行の細かい手順が読者に示され、そして、扉は閉じられる。密室の完成。


舞台は高級洋館。大学時代のサークルの同窓会が行われている。論理的で緻密な計画を立てた犯人。そのシナリオ通りに事態は進むかに思われたが、主人公の予測を超える洞察力と推理力も持ったひとりの友人の前に、緊張感の漂う論理戦が繰り広げられる。言葉をひとつづつ選び、その場をコントロールして自分の思惑通りの流れに持ちこもうとする犯人。その論理の隙間に疑問を感じて、矛盾点を鋭く指摘して犯人の計画を打ち崩す友人。


久しぶりに推理小説らしい推理小説を読んだ。緊張感のある論理戦は見事。小説を一気読みしたもの久しぶりだ。軽く読めて、きっちり楽しませてくれる。


カバー折り返しにある著者のことば

「鍵のかかった扉を、斧でたたき壊す」
本格ミステリの世界にはよくあるシーンです。
「そうではない」話を書こうと思いました。
閉ざされた扉を前にして、探偵と犯人が静かな戦いを繰り広げる。
この本に書かれているのは、そんな物語です。
対決の立会人はわずかに四人。あなたが五人目です。

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