夜、出かけようとすると、
玄関わきのうす暗い部屋で
『ガ』が飛んでいる。
外出後、帰宅するとまだいた。
くるくると輪をえがいて飛んでいる。
「よ~飽きんと、暗い部屋でパタパタとガが…」
「…?…暗いとこでガ?」
虫は普通、明るい光に寄ってくる。
壁に止まったその物体を、よ~く見ると、
ちびっこコウモリである。
垂直の壁に、顔をべチャッとくっつけ
困ったようにはりついている。
無抵抗のコウモリを捕獲して、
まじまじとながめた。
めったに近くで見れるものではない。
ちいさいネズミが、ブタのまねをしたみたいな顔をしている。
鼻が上を向いているのだ。
羽は、まさにこうもり傘。
当然コモちゃんと命名し、
ちいさい水槽に
『コモちゃんの部屋』と看板をつけて入れた。
翌日、ルンルンで外出先から帰ってくると、
コモちゃんの部屋はからっぽ
。
たぶん、爬虫類系大っキライの父が見つけ、
気味悪がって大騒ぎしたあげく、外に放したに違いない。
…ちっ。
それからは外でコウモリを見かけると、
(なぜか当時よく飛んでいた)
「コモちゃん?」
と立ち止まる私であった。
ま。
むこうも、自分がコモちゃんだかどうだか
知ったこっちゃないねんけどな。
