本気で運転を始めた。


2年前に息子に反対された、


という言い訳をして、


実は自分が怖くて断念した仕事が


再度、目の前にやって来た。


今度は有無を言わさず


前髪を掴んだ口笛


面接でまた、独自の人生観を


喋り倒して帰って来た。


然も夫の運転で。


当分は送り迎えしてもらうことに


なるんですがいいでしょうか、って。


ダメかもな、って思いながら。


使い物になるのに3年はかかるから、


すぐに辞められたら困る、って言われた。


女性は子供や介護や何やかやあって、


辞めてしまう。それは困る、と。


確かに今は私も自由にはなったけれど、


それって絶対って、約束出来るんだろうか?


って、ぼんやり思いながら聞いていた。


夢は何ですか?って聞かれて


一瞬答えに詰まった。


大好きな場所で大好きな人と


大好きな景色を楽しむ、とは


すぐには出てこなかった。


夫はまだここでしたいことが


あると言うし、


私は帰ってしたいことがあって


手っ取り早く実家を拠点にしようか


と、正直、迷っていた。


そうしてもいいけど、それは私の


本意ではないな、と思いながら。


あやふやでいた。


で、出した答えが、


器を大きく広げたいです!って。


いや、何だ、それ?ってなるけど、


色々経験してきて、


どんな人も自分の一部だと思ったら、


受け入れてしまう方が


ずっと楽だと思いました。


今の自分は昔の自分に比べたら


正直で、すごくいいな、と思える。


今の私なら大丈夫だ!って、思えるから。


って、仕事には何の関係もないのに


言い切った口笛


そうして、答えがはっきりした。


よし、この仕事でやってみよう。


何かを理由に逃げずに


これに残りの人生を賭けてみよう。


そう思った。


目の前の人は神。みんな神様。


私も。


質問は私が私にしたんだな、と思った。


ブレている自分に


自分が問いかけたんだな、って思った。


観たい景色はいつか観られるかも


しれないし、


形を変えて手に入ることもある。


今はここで、


やれるところまでやってみたい。


運転して仕事に行く。


ガイドが入れ替わったんじゃないか、


と思う。


本気度が伝わった気がする。


昨年末に、何かと焦って


一見、好条件に見えた仕事に


飛びついて、断られた。


待て、って言われた意味が


今、ようやく理解出来た。


お金や楽さや役割みたいなもの


を優先して、焦った。


本当に自分が喜ぶことを


仕事にすることを忘れていた。


断られた仕事は


目指すものとは真逆にあったことに


ようやく気づいた。


自然と共に四季を感じる、


厳しいけれど


自分が一番喜ぶ仕事。


出来るかどうかより、


まずはやると決める。


決めるから物事は動く。


最初から逃げ道を用意して


あやふやな気持ちで始めるのではなくて、


やりたい気持ちを優先して


覚悟を決める。


自分の決断に責任を持つ。


私に必要だったのは


経済的自立よりも先に


精神的自立だった。


苦しみながらも


時間をかけて、


自分と向き合ってきて


良かったと思う。


本当の自分で


新しい自分を


気長に育てて行こうと思う。