やはり雨だった。

ホテルで朝食をとり会場へ向かう。

路面はウエット⋯

チームテントで準備が始まる。


いつもの通りとてもリラックスしている。

しかし中山氏と会話はない。


イベントのじゃんけん大会が始まった・・・

MarcoはOKOK!!

じゃんけん大会に参加している・・・

JavierはNONO!!

意地でも参加しない・・・

正反対の二人。。。


そして車の中で集中。

Javierはローラーを始める。

雨だけが心配だった。


私は車の中で休んでいた。

スタート時間が迫っていた。

スタンバイしているJavierを見つけた。


セミファイナルは一人だけが落とされる。

絶対に大丈夫⋯確信していた。


Javier⋯

気をつけて⋯幸運を⋯そしていつものハグ。


スタートラインに立つJavierを遠目に見ていた。

そしてスタート。


何周目だっただろうか⋯

Javier⋯声を掛けると彼は右手を上げて返事をした。

何?

何だろう?

心配になった。

こんな事は初めてだったから。。。


えっ⋯遅い。

Javierが来ない。

不安は募る。

レースのサポートをしているバイク隊の友達が私を見つけJavierはパンクでニュートラルからスタートした事を教えてくれた。


良かった。

安心した。

友達は私が心配していると察知してくれていた。

さっきの合図はこれだった。


セミファイナルでチームのメンバーは1位でゴールした。

レースの途中彼はアタック。

他の選手は彼を追わなかった。

彼は地元の選手だから追うなとJavierは彼を追わせなかった。


セミファイナルは問題はあったが通過。


残念だけどファイナルはDNF...フィニッシュできなかった。

降りしきる雨で過酷だった。

健闘したのにゴールできなかった。


チームテントに帰りずぶ濡れのJavierは車で着替えていた。

私はドアを開けタオルを渡した。


I'm sorry.

ごめんなさい。

I could not make a goal.

ゴールできなかった。

Javierは私に言った。


涙が溢れた。

No⋯

何事も無かったんだから。。。


スペイン人の友達がチームテントに来てくれた。

楽しそうにスペイン語で話しているJavierを見るととても嬉しくなった。


また明日からトレーニングが続く。

2週間後にはレースがある。

8月は終わろうとしていた。


この頃にはMarcoとJavierは当然来シーズンここには居ない事は分かっていた。

彼らともあと3ヶ月だろうと思っていた。

彼らには日本へ来た事を後悔させたくなかった。

そして楽しい思い出を残してやりたかった。

残り少ないレースを悔いのない様に走らせなければ⋯


つづく⋯