金あり、職あり、美貌あり。30女の落とし穴。 | 今、夜明け前。

金あり、職あり、美貌あり。30女の落とし穴。

「失恋」どこにでもある、面白くない話。今この瞬間にも誰かが恋を失ってメソメソ泣いている。


今日、帰りの地下鉄で彼女は自分の「恋愛勝率」を数えてみた。
もちろん「勝ち」は振った「負けた」は振られた数である。
結果、5割。勝ち負けは同数であった。

これは彼女には意外な数字だった。

というのも、まさに今、こっぴどく振られたところで「なんで私はこんなにも男に振られてばかりいるのか?」と悶々としていたからだ。そっか、振ったこともあったんだっけ・・・。

春日弥生、31歳。アパレル会社の役員。惚れたはれたの人生なんてまっぴらで、ドライな付き合いが出来る男やちょっぴり切ない疑似恋愛気分を味わわせてくれる男、飲み仲間、食事仲間、セックスフレンド、そういうのを用途に合わせて何人か取りそろえていればいい。そう豪語していた数年間だった。実際に、そんな生活だった。若くてカワイイ子を従えて、毎晩六本木あたりのなじみの店で遊び、仕事関係の派手目な付き合いもこなし、それなりに男に口説かれ。人生そんなものだと思っていた。それについての虚しさなんて、感じていなかった。誰が見ても楽しげに人生を渡り歩いている大人の女だった。

そんな弥生が今、どん底に落ちている。