NASAの空飛ぶ円盤「LDSD」、2回目の飛行試験を実施 パラシュート展開せず
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NASAの空飛ぶ円盤「LDSD」
2回目の飛行試験を実施
パラシュート展開せず
2015年06月11日 12時00分 提供:sorae
Image credit: NASA
米航空宇宙局(NASA)はハワイ現地時間6月8日早朝、将来の火星探査機に使う減速技術を実証する試験機 「LDSD」 の、2回目となる飛行試験を実施した。
試験では2つ搭載された減速装置のうち、1つは正常に作動したものの、もう1つのパラシュートは展開に失敗し、太平洋上に落下した。ただ、NASAでは実験としては成功だったと発表している。
LDSDはLow Density Supersonic Deceleratorの略で、直訳すると 「低密度超音速減速装置」 という意味になる。
火星のような密度の低い大気の中で、探査機を超音速から減速させるための新しい技術を試験するために開発された。機体の直径は4.7mで、質量は3088kg。その見た目から宇宙ファンなどからは 「空飛ぶ円盤」 と呼ばれており、NASA自身も 「flying saucer」 と呼んでいる。
火星探査機の着陸では、これまでパラシュートが主に使われてきた。たとえばNASAは、1976年に火星着陸に成功した探査機 「ヴァイキング」 から、「マーズ・パスファインダー」 や 「マーズ・エクスプロレーション・ローヴァー」、 「フェニックス」、そして2012年に着陸し、現在も活動を続けている最新の 「キュリオシティ」 に至るまで、ほとんど同じ設計で造られたパラシュートを使用し続けている。
しかし、その能力には限界があるため、将来、より大型の探査機や有人火星探査船を着陸させる場合には役に立たない。そこで、より大型のパラシュートや、まったく新しい減速装置が必要となる。
LDSDには、キュリオシティなどで使われたものの約4倍の面積を持つ、直径30mを超える巨大なパラシュートと、機体の周囲に配置された風船などを膨らませて、面積を大きくし、機体にかかる空気抵抗を増やすことで減速させる 「SIAD」 という新技術が装備されている。
またSIADには、機体からガスを注入して風船のように膨らませる 「SIAD-R」 と、空気抵抗の圧力を利用して展開する仕組みの、より大型の「SIAD-E」の、大きく2種類がある。
LDSDは2012年から地上で試験が行われており、2014年6月28日には1回目となる試験飛行が行われている。この1回目の試験では、SIAD-Rの展開には成功したものの、巨大パラシュートは展開に失敗した。その後、パラシュートの構造などに改良が加えられ、今回の2回目の試験に備えていた。またSIAD-Rは成功したため、2回目ではSIAD-Eが搭載されることになった。
2回目の試験は、現地時間2015年6月8日7時45分(日本時間2015年6月9日2時45分)に始まった。まず上空高度約36kmまで気球に吊るされて上昇し、そこで分離された後、LDSDの機体下部に装備されたロケット・モーターを噴射し、高度約55kmまで一気に上昇する。
そして弾道の頂点において、速度約マッハ3の状態でSIAD-Eを展開して速度をマッハ約2.5まで落とし、続いてパラシュートを展開、減速しつつ太平洋上に着水するという流れが計画されていた。
しかし、SIAD-Eの展開と減速には成功したものの、今回もパラシュートが展開後に破れ、機体はそのまま太平洋上に落下した。
NASAは翌日記者会見を開き、パラシュートの展開には失敗したものの、前回の失敗に比べると進歩があったとし、また海上に落下した機体から映像を含むデータを回収できたことから、実験としては成功と発表している。
今後、今回得られたデータを基にさらなる改良を加え、2016年夏ごろに3回目の試験飛行を実施したいとしている。
写真=NASA。
■NASA's LDSD Project Completes Second Experimental Test Flight | NASA
http://www.nasa.gov/press-release/nasas-ldsd-project-completes-second-experimental-test-flight
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