産経NEWS
http://www.sankei.com/affairs/news/141104/afr1411040034-n1.html



2014.11.4 19:19更新

  店長過労自殺で
  5700万円賠償命令
  過失相殺認めず、
   ステーキ店敗訴 東京地裁



 首都圏を中心にステーキ店『ステーキのくいしんぼ』をチェーン展開する「サン・チャレンジ」(東京都渋谷区)の店長だった男性=当時(24)=が自殺したのは、過酷な長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因だったとして、両親が会社側に計約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。山田明裁判長は「恒常的な長時間労働や暴言、暴行などのパワハラ以外に自殺を引き起こす要因は認められない」として、計約5790万円の支払いを命じた。

 山田裁判長はさらに、「自殺した本人に過失はなかった」と指摘し、過失相殺による賠償額の減額を認めなかった。原告側代理人は「自殺をめぐる訴訟で過失相殺を認めないのは異例」としている。

 判決では「遅くとも平成20年2月ごろから恒常的に長時間労働を行い、(上司にあたる)エリアマネジャーから暴行などのパワハラを受け、心理的負荷により精神障害を発症させた」と認定。会社側についても「業績向上を目指す余り、社員の長時間労働や上司によるパワハラなどを防止する適切な労務管理体制を執ってこなかった」と責任を認めた。

 判決によると、男性は19年に入社、21年に同社が経営する「ステーキのくいしんぼ」の都内店舗の店長になった。男性は22年11月、首をつって自殺。渋谷労働基準監督署が24年に自殺を労災認定している。

 会社側は「判決の詳細を把握していないのでコメントできない」としている。







http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141105-00000104-san-soci

  【パワーハラスメント裁判】
 ステーキ店長過労自殺 
 パワハラ、半年で休日2日だけ


  産経新聞  11月5日(水)7時55分配信



 「ばかだな」「使えねえ」。24歳で自ら命を絶った男性は、上司による職場での暴言に加え、しゃもじで殴られるなどの暴行も受けていた。また、自殺直近の半年間での休日はわずか2日だけ。裁判所は、度を越した労働環境が、男性を追い込んだと認定した。

 さらに社長が出席する本部での朝礼でも、この上司はパワハラを行ったことがあり、裁判所は「会社側はパワハラや長時間労働を認識できた」との立場だ。

 いじめは時間外にも及んだ。貴重な休日には上司から、「ソースを買ってこい」などと命じられることもしばしばあった。裁判所も判決で「日常的使い走り」と指摘している。さらに、仕事後には渋る本人を釣りやカラオケに付き合わせるなど、上司は日常的に負荷をかけ続けた。こうした悪質性が、過失相殺の判断に影響を与えたとみられる。

 「ブラック企業」という言葉が世間で認知される中、民事裁判で過労自殺に対する賠償が認められる判決は「年々増えている」と、ある弁護士は指摘する。今回の裁判では、労基署による労災認定が先行したが、この弁護士は「労災認定されなくても、賠償が認められるケースも出ている」としており、過労自殺への行政、裁判での認定基準はそろいつつあるという。







  最終更新:11月5日(水)8時48分


   産経新聞