市進学院に“支払い勧告”
未払い残業代は取り戻せる
日刊ゲンダイ 1月8日(水)10時26分配信
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ブラック手口に泣き寝入りしない/(C)日刊ゲンダイ
社員を酷使するブラック手口として、最も多いのがサービス残業だ。
昨年は泣き寝入りした人も多いが、今年はもらえるはずのカネを取り返す人が急増する。
大手学習塾「市進学院」の講師2人は、サービス残業について柏労基署に相談したところ、10分未満の残業時間を切り捨てたため残業代の未払いが生じたとして、市進に対し、過去2年分の残業時間を1分単位で再計算し、未払い分を2人に支払うよう是正勧告した。これを受けて市進は、数百人の講師全員分の残業代を再計算して未払い分を支払うという。
2人が加入する全国一般東京東部労働組合の担当者が言う。
「講師は全員1年更新の契約社員で、延長は最長50歳までで、一時金も退職金もありません。ただでさえ社員より立場が弱い上、この10年で基本給は3~4割カットされ、平均年収は400万円から300万円ほどにダウンした。40代でこの程度です。
さらに何年か前から、市進は講師の残業代を10分単位で計算するようになり、1分単位の端数をケチるようになったのです」
休憩中は生徒の質問を受け、授業が終われば教材を作ったり、掃除をしたり。拘束時間外でも講師に休まるヒマはない。「1カ月の残業時間は平均40時間ほど」(前出の担当者)というが、未払いはシャレにならないだろう。
2人の勇気ある行動が実を結んだわけだが、実はサービス残業の支払いを会社に認めさせるのは決して楽ではない。ブラック企業アナリストの新田龍氏も「成功するのはわずか」というが、労基署に相談するときのポイントを守れば、取り戻せる可能性がグンと高まるという。
「労基署は民事不介入の原則があり、匿名のタレ込みでは絶対に動きません。必ず氏名を名乗って身分を明かすことです。そして、サービス残業の実態がわかる具体的な証拠をできるだけたくさんそろえることが重要。もちろん、材料は1人分より複数の方がいいので、労働組合があれば、組合とタッグで取り組むといい。
講師2人の行動をキッカケに市進が全員分の未払いを支払う動きになったのは、組合の働きかけがあったからです。組合との行動なら、カネを取り戻した後の立場を守るメリットもあります」(新田氏)
■「市進」は業務日報、雇用契約書などが決め手に
市進のケースでは、タイムカードや業務日報、雇用契約書、給与明細などのコピーがサービス残業の証拠として決め手になった。
ほかには「会社のパソコンのログイン履歴、サービス残業を強いる上司の会話の録音記録」(新田氏)なども証拠になる。
会社のパソコンデータは自分のメディアなどに保存しておくといいし、イザというときはICレコーダーなどに上司の会話を記録することだ。
残業代の計算に、15分単位や30分単位を採用している企業もある。すでにマクドナルドやスパゲティ店「洋麺屋五右衛門」の社員はこれで残業代を取り戻している。2014年、市進の余波は、多くの企業に飛び火しそうだ。
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最終更新:1月8日(水)10時26分
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