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  熱中症対策、上手に
  汗をかいて体温調節を


日経ウーマンオンライン(日経ウーマン)
7月4日(木)12時14分配信


 暑い季節は苦手ですぐにだるくなる、という人は、自律神経の働きが乱れがち。
「暑さへの適応力が低く、熱中症にかかりやすいタイプ」と神奈川県立保健福祉大学の谷口英喜教授は言う。

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White Catのブログ-熱中症対策、上手に汗をかいて体温調節を


 自律神経をうまく機能させるためには、第一に規則正しい生活習慣を心がけること。十分な休息や代謝に必要な栄養をとるよう努めることが大事だ。

 「この時期は特に、3度の食事をきちんととるように気をつけて。食事は栄養補給という意味で重要なのはもちろん、水分補給源でもある。食べ物自体に含まれる水分に加え、その消化・代謝で生まれる水分が体内を巡る。私たちは1日当たり1~1.2Lの水分を食事によって補っている」
  (谷口教授)

 なお、ビールなどのアルコール飲料は水分補給には適さない。
「アルコールは利尿作用があるうえ、代謝するときにも体の水分がたくさん消費される。“炎天下ですきっ腹にビール”なんて行動は、脱水症を促進しかねない」
と谷口教授。



*夏前から始めたい
   しっかり汗をかく体づくり



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気温が高いときもスムーズに熱を下げる体になる
ためには「しっかり汗をかける」体であることが大切だ。
それには、入浴や運動がカギとなる。


 気温が高いとき、スムーズに熱を逃がすためには「しっかり汗をかける体」であることが大切。
早稲田大学人間科学学術院の永島計教授は、「汗腺のうち、有効に汗をかくことができる“能動汗腺”の数には個人差があるが、エアコン漬けで運動不足だと、能動汗腺から分泌される汗の量も少なくなる」という。
能動汗腺の数を増やすには、「毎日入浴して温度刺激を与えるといい」
   (永島教授)

 もちろん、運動も有効だ。
「本格的な猛暑が訪れる2~3週間前からでも、運動をすることで、筋肉量が増えるとともに、汗腺がきちんと開き、汗をしっかりかけるような体になる」
と、谷口教授もいう。

 天気予報で注意したいのは「気温」と「湿度」だが、風の有無にも気をつけたい。
風がないとせっかく汗をかいても蒸発しにくく体温も下がりにくい。扇風機をつけないオフィスや寝室も同様だ。
「太陽光や、熱くなったアスファルト、建物からの照り返しはもちろん、満員電車の中など大勢の人から発される赤外線による輻射熱(ふくしゃねつ)も体温上昇のもとになる」
と永島教授。

 熱中症対策のポイントは、「気温、湿度など、熱中症になりやすい条件とは反対の環境づくりを心がけること」
   (谷口教授)

 温度や湿度は、エアコンを上手に使ってコントロール。
「汗をかいているときは、扇子やうちわで顔周辺に風を送るだけでも汗の蒸散が増加し、体温を下げられる」
   (永島教授)。

 汗を素早く吸収するインナーも、体温上昇を防ぐ効果あり。頭や首元も、輻射熱からしっかりガードすれば万全だ。



*こんなときに熱中症は起きやすい

気温が高い
最高気温が30℃以上の「真夏日」や、35℃以上の「猛暑日」は、体温も上昇しやすくなる。
気温が高い日は、屋外で激しい運動をすることなどは極力避け、こまめに日陰で休み、冷たい水分をとって体を冷やそう。


湿度が高い
湿度が75%以上になったら要注意。
たとえ気温が30℃以下でも湿度が75%以上になると、汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりにくくなって熱中症リスクが高まる。エアコンを使って湿度を下げるだけでも体への負担はぐっと減る。


風がない
風がまったくないと、せっかく汗をかいても蒸発しにくくなるため、熱を下げられず、熱中症になりやすくなる。
屋外ではうちわや扇子などであおぎ、室内では扇風機やファンを使って風を作るだけでも、体温は下がりやすくなる。


輻射熱(ふくしゃねつ)が強い
太陽光やアスファルト、砂地からの照り返し、人混みの中など、熱を発する物体から直接・間接的に受ける赤外線による放射熱を「輻射熱」という。
目に見えない熱なので無防備になりやすく、熱中症を引き起こす大きな原因になる。



*だらだら汗はNG
  インナー着用で涼しさもアップ


暑いからといって、下着の上に服を直接着ると、背中を玉のような汗が伝う。
「背中をだらだらと伝うような汗は、蒸発しにくく熱を逃しにくい。汗を吸収しやすいインナーを着れば、汗を吸い取ると同時に効果的に熱を逃がせる」
と谷口教授。


*正しい水分補給をする

1日3回の食事を欠かさないことと、こまめな水分補給を心がけて。
「アルコールは飲めば飲むほど脱水を促す飲み物。水分補給になると思わないように」
と谷口教授。
お酒を飲むときは、水分補給と食べることも忘れずに。キュウリやトマトなどの夏野菜は水分を豊富に含む。食事にたっぷり取り入れることで、汗で失われやすい塩分やカリウムの補給になる。


*風を送って汗の気化を促す

「体温を下げたいときは、首元や顔に風を送るといい。汗をかいているときに風を送ると、さらに体温を下げることができる」
と永島教授。
首から下げられる携帯タイプのファンもある。卓上に置けば、オフィスでの熱中症対策にも。


*輻射熱から首を守る

首まわりが大きく開いた服を着ると、頸動脈などの太い血管が太陽光や地面の照り返しなどの輻射熱を受けやすい。
「輻射熱を避けるには、肌の露出はなるべく避けたい。首元にはストールを緩く巻き、風通しのいい素材の長袖を着るなどしてガードしよう」
   (谷口教授)


*帽子は頭が隠れるものを

「頭は、太陽の赤外線が一番に降り注ぐ場所。帽子で守りたい」
   (谷口教授)
サンバイザータイプでは頭を守ることができない。汗の蒸発を妨げない昔ながらの“麦わら帽子”のように通気性のいい帽子をかぶろう。


<この人達に聞きました>
*谷口英喜教授
神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 福島県立医科大学医学部卒業。
麻酔・集中治療、経口補水療法、がんと栄養管理、術後回復能力強化などを専門に研究。「汗をかくことは老廃物の排出や体温調節に欠かせない大切な働きです」

*永島 計教授
早稲田大学 人間科学学術院 健康福祉科学科 京都府立医科大学医学部卒業。
体温、体液、温度感覚やそれにかかわる疾病の予防・治療法などを研究。「運動や仕事など何かに熱中していると渇きに気づかず、脱水になりやすいので注意を」




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最終更新:7月4日(木)12時14分

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