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「社内健診」のホント!? ウソ!?
 ――知っておくべき
  「社内検診×がん検診」
         用語の基礎



nikkei TRENDYnet
2月19日(火)13時54分配信

White Catのブログ-社内検診 ホント!?ウソ!?
 「異常あり」の判定は手遅れ?  
 「要注意」は何に注意するの?  
 がんは見つからない?  
 年齢とともに、否が応でも健康に関心を持つようになる
 30、40代。若いころと比べて明らかに変わってきた体形、
 特に“腹まわり”が気になり、「メタボ」の3文字が頭の...



「異常あり」の判定は手遅れ?
「要注意」は何に注意するの?
がんは見つからない?
年齢とともに、否が応でも健康に関心を持つようになる30、40代。若いころと比べて明らかに変わってきた体形、特に“腹まわり”が気になり、「メタボ」の3文字が頭の中でチラついている人も多いのでは?
新年度が始まり、「社内健診」が行われるこの時期。その結果を正しく読み取り、自分の体を積極的に健康にする一歩を踏み出そう。

【詳細画像または表】



Q 社内健診の1週間前から節制すれば
    検査項目の数値は正常に戻るの?

【ホント】 血糖や中性脂肪、肝機能の数値、尿酸などは食事に非常に影響されるので、1週間も節制をすれば、基準値を超えていた数値が基準値内に収まることもあり得る。ただ健診が終わって元の不摂生に戻っているならば、普段の状態を検査したことにならず意味がない。
検査をきっかけに節制を心がけた習慣にするなら話は別だが、本来の健診は「いつもの自分」で受けるべき。

 なお、「かくれ糖尿病」の発見に有効なHbA1Cの値は、検査直前の食事や運動の影響を受けにくいので、検査前に節制をしてもほとんど変わらない。



Q 健診結果で「異常あり」だと
    「手遅れ」とのうわさも…

【ウソ】 「異常あり」の判定の中にも段階がある。重大な病気の可能性がわかるということはあるが、「手遅れ」になることは非常にまれ。基準値を少し上回るくらいの異常値で、その数値が一時的なものであれば、生活習慣を見直し、改めていくことで、健康な体に戻すことができる。異常値だからと悲観的になる必要はまったくない。
もし、その数値が持続性がある(病気の可能性がある)のであれば、受診して治療すればいい。

 ただ、「要再検査」や「要精密検査」といった判定がでたら、すぐに受診して医師の指示に従うこと。「異常があるのは1項目だけ。大したことではないだろう」などと軽く見てはいけない。



Q 社内健診には検査項目数に
    「松竹梅」があるってホント?

【ホント】 診断結果を見ると、脂質、糖尿病、肝機能…など、それぞれに複数の検査項目がある。その中から「どの検査をするか=どの数値を調べるか」は、会社の健診に対する方針や、健診にかけられる費用を基に、事業者(会社)が決定している。

 たくさんの項目を検査し、人間ドック(がん検診なども含まれる精密な検査)を受けさせる会社もあれば、厚生労働省の定める必要最低限の項目しか検査しない所もある。次ページの「健康診断個人票」にもいくつかの空欄があるが、社内健診ではこの程度の検査項目数が一般的。



Q 判定に「要経過観察」の項目がある場合、
    「見てるだけ」でいいですか?

【ウソ】 「要経過観察」とは、「今までどおりの生活のまま、様子を見ていればいい」ということではない。今までの食事や生活習慣を見直して、改善する努力をしたうえで、「次回の検診でその数値が下がっているかどうかを見ましょう」というのが正しい意味。
「軽度異常(B判定など)」も同じ。正常の範囲だが数値が高めである認識をすることが大事。

 「要経過観察」とは別に、「要注意」の判定がある検査機関もある。
「要注意」は「要経過観察」よりも基準値を外れている度合いが大きい(=異常値が高い)レベルと位置付けていて、食事や生活習慣の改善を「必ず計画的に実行すること」という意味。
いずれにせよ、「要経過観察」も「要注意」も今までの食事や生活習慣を改めなければ、次の健診ではさらに悪い結果になる恐れがある。



Q 社内健診を受けるだけでは、
    がんは見つからないの?

【ホント】 社内健診は、日本人の死因の病気トップ3の「がん」「脳疾患」「心臓疾患」のうち、がんを除く二つの死亡率を下げるためというのが目的だ。
社内健診でわかるのは、主に心疾患や脳疾患の引き金となる可能性が高い「動脈硬化」の要因や危険因子があるかどうか。また、糖尿病などの生活習慣病の原因になるメタボリックシンドロームかどうかを判定する。

このように、現在の検査項目では、社内健診とは別にがん検診を受けなければ、がんはまず見つからない。「肺がん検診」「胃がん検診」など、目的に合った、自分が気になる「がん検診」を忘れずに受ける心がけも必要だ。

3分でわかる! 健診結果で見るべき五つのポイント

社内健診の判定を見たらどうやって改善すればいいの?

社内健診の総合判定で出たA、B、C…。これらの結果はどのように受けとめて、対処すればいいのだろう。ここでは食事や生活習慣の改善点をまとめてみた。D(要再検査)は「異常値が一時的なものか、病気によるものなのか、もう一度検査を」という意味。放置せずに必ず再検査を受けよう。


【総合判定A】
判定はあくまで現時点での結果――健康の維持と増進に努めよう

 A判定とは診断では異常な所が見当たらなかった、ということ。ただし、これは「検査時は」という条件付きであり、これからの健康状態が保証されたわけではない。もちろん健康を過信して不摂生な生活を送らず、これまでの食事や生活習慣を維持して健康の維持と増進に努めよう。

特に40歳を過ぎたなら、食事の栄養バランスを考え、暴飲暴食を控え、十分な睡眠や適度な運動を心がけ、また禁煙するなど、健康を損なう要因を避けることが大切だ。

ただし、たとえ基準値の範囲内でも、数値が高めの項目があれば注意を。意識して食事や生活習慣に気をつけたり、運動をしたりして、日ごろから改善する努力が大切だ。


【総合判定B】
生活習慣のちょっとした見直しで若い体はまだまだ取り戻せる

 B判定の人は、基準値を超える数値が出た項目について、危険因子を減らすように習慣を変える努力を要する。

食事面でいえば、まず飲みすぎ食べすぎは厳禁。常に腹八分を心がける。肝臓機能の項目に異常値があれば、高カロリー食品を控え、食物繊維を多くとり、飲酒量を減らすか断酒する。腎臓機能に異常値があるなら、塩分とたんぱく質を控えるようにする。糖尿病の項目に異常値がある場合は、脂っぽい料理や、スナックなどの間食を減らし、食物繊維を多くとる、など。

一方、生活面では禁煙をする、毎日30分のウオーキングなどの軽い運動や睡眠時間を十分にとるようにする。ストレスをためこまないようにすることなども心がけよう。

このように、異常値の項目に合わせて積極的に生活習慣を改善していけば、健康な体は自力でまだまだ取り戻すことができる。

検査項目の基準値を少し超えているぐらいの微妙な結果が出た場合、それが許容範囲なのかどうかの素人判断は難しいので、不安があれば医師に相談しよう。


【総合判定C】
自己流での生兵法を避ける――改善方法は医師の助言をもとに

 「要再検査ではないから大丈夫」など、根拠のない自己流の解釈はやめて、食事や生活習慣の改善方法について、ただちに医師や保健師から保健指導を受けること。まして総合判定がD以下であれば、ますます対策は急務だ。「異常値」と判定された以上、これを放置したままだと、健診を受けた意味がなくなってしまう。

異常が見つかった項目によって、具体的な改善プランは異なるが、上にあるB判定で記した食事内容や生活習慣の改善をさらに徹底するなど、覚悟して努力すること。自己流の改善法ではなく、保健指導を受けることが大切だ。

保健指導は普通、医師や保健師の指示に従い3カ月または6カ月などと期限を決めて行う。指導どおりに生活習慣の改善努力をした結果、再検査して数値がどのように変化したかを観察。もし改善しなかったら、投薬などの治療を受ける必要もある。

社内健診では見つからない! 40代は必ず「がん検診」を!

今や、成人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人が命を落とすといわれている。社内健診では見つけられない「がん」の早期発見のために、どんな検診を、いつ受けたらいいのかを紹介しよう。

初期のがんは自覚症状がまったくない。しかも進行して初めて「急激な体重の減少」や「貧血」といった症状が出る。「残念ながら、一般的な社内健診の数値の計測には、そこからがんを特定しようとする意図は少ない」と国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの森山紀之センター長は強調する。がん検診が含まれていない通常の社内健診では、がんはまず見つからないのだ。

今や、2人に1人ががんになる時代。完全な予防はできないのだから、せめて治療すれば治る早期のうちに発見したい。だからこそ社内健診とは別に、自主的に、忘れずがん検診を受けることが大事なのだ。

20代は必要なし、30代なら最低でも30、35歳で受ける

男性のがんの死亡率トップ3は「肺がん」「胃がん」「大腸がん」。これらのがんの罹患(りかん)率は「40代から一気に増えている」と、三井記念病院総合健診センターの山門實所長は指摘する。肺がんなど進行の速いごく一部のがんを除いて、がんは早期に発見され、治療を受ければ治るものが多い。山門所長はがん検診を30代で最低2回、30歳、35歳の節目あたりで受けることを薦める。

40代になったら毎年、「前立腺がん検診」は50代になって追加する

では具体的に、どんながん検診を受けたらいいのだろうか?

一般的に生活習慣病の発症が増える40代。「罹患率の高い肺がん、胃がん、大腸がんの検診は、毎年受けるのが基本」と山門所長は毎年のがん検診を薦める。

検診内容は地域や医療機関によって違う。例えば市町村など自治体が行っている胃がんや肺がんはX線検査、大腸がん検診は便潜血(べんせんけつ)検査をする場合が多い。

どんな検査でも、ごく小さい初期がんを見落とす可能性はないわけではない。がん検診を実施している病院の人間ドックなどは、もっと精密な検査を取り入れている所が多い。例えば、CTやMRIなどでの検査、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査などである。

喫煙者は肺のX線検査で異常がなくても、40代になったら一度は低線量ヘリカルCT検査を受けるといいだろう。この検査では、らせん状に切れ目なく断層画像を撮ることができるため、見つけにくいとされる1cm以下のごく小さな肺がんも見つかる確率が高い。また、低線量なので、X線の被爆(ひばく)量も少なくて済む。

社内健診で肝臓や腎臓の数値に異常が見つかった場合には、医師と相談のうえ、心配なら肝臓がん、腎臓がんの検診もプラスして受けると安心だ。

男性特有の「前立腺がん」の症状が出てくるのは主に60代になってから。検診は50代になって受ければよい。前立腺がんは唯一「血液検査でわかるがん」であり、検査も簡単だ。

検診は、希望するすべてのがん検診が含まれる病院の人間ドックを利用するのが手っ取り早い。しかし社内健診と違って、費用も時間もかかる。一度に受けると経済的負担になるなら、時期をずらして「今年は肺がん検診、来年は大腸がん検診」のように順番に受ければいいだろう。

検査料金の目安 (国立がんセンターでの場合)
・総合検診 男性9万9750円 女性13万6500円
・肺がん     3万4650円
・消化管がん  5万2500円
・総合検診+PET検査
      男性 18万9000円
      女性 22万5750円

科学的根拠に基づいたがんを防ぐ8カ条
1.喫煙者はすぐに禁煙。
    吸わない人は、副流煙を避ける。
2.お酒は、日本酒換算で
    1日1合(ビール大瓶1本)まで。
3.野菜、果物は1日400g。
    野菜は毎食、果物は毎日とる。
4.食塩は1日10g未満。
    塩蔵食品類を控える。
5.週1回は汗をかく定期的な運動を。
6.BMI値は20~27の範囲を維持する。
7.熱い飲食物は最小限に。
    熱い飲料は冷ましてから飲む。
8.肝炎ウイルス感染を検査し、
    予防や治療をする。
 (構成・文/船木麻里、
   イラスト/チューブグラフィックス、
         構成/池田 悟=編集部)



これだけは知っておきたい
 【社内検診×がん検診】
     用語の基礎知識


社内健診の結果には、様々な検査項目や数値が並んでいるが、これらは一体どういう目的の検査で、数値にはどんな意味があるのだろうか? また、がん検診にも様々な診断法があるが、それはどんな方法や特徴があるのだろうか? ここに挙げたのは、社内健診やがん検診を理解するための、最低限必要な用語ばかりだ。

健診の基本
●メタボ健診(特定健診)
 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目し、2008年から厚生労働省が40歳以上を対象に義務化し始めた健診。糖尿病や脳卒中、心臓病などの生活習慣病の予防を目的として実施されている。
会社の社内健診や、市町村など自治体が特定健診として行い、「メタボ健診」とも呼ばれる。メタボやその予備軍の人に対し、早くから治療や生活指導を徹底することで、増大する国の医療費を削減するのが狙い。メタボ健診では「腹囲測定」が加わり、診断結果をペーパーで通知するだけでなく、異常値の人に対して適切な生活習慣の改善指導を行うことが義務付けられた。

●基準値
 検査データが統計的に平均的な範囲にあることを示すための目安。統計的には、基準値を外れた人から病気の兆候が見つかる可能性は高くなるが、基準値を少し超えたくらいの数値では健康に問題はないことも多い。

 具体的には、健康な成人(40~60歳)を集め検査値の分布を基に、上位、下位の各2.5%の数値データを除き、残り95%の人の検査値の分布の下限から上限までを指す。よって、上位、下位のそれぞれ2.5%内に入っている健康な人であっても「数値上は異常」と判断されてしまう。また、検査項目によっては、病気の発症率調査を基に、各学会が決めている基準(病態識別判定値)もある。

●BMI(ボディー・マス・インデックス)
 肥満を判定する国際的な体格指数。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の公式で求める。日本肥満学会による標準体重はBMIが18.5~24.9の範囲。25以上になると肥満と診断される。


肝機能の数値

●GOT・GPT
 どちらもアミノ酸の生成に関係する酵素で、肝臓など臓器の細胞が壊れると血液中に漏れだす。肝臓の異常を調べる検査の代表的な数値。健康な人は二つの値がほぼ同じか、GOTがやや高め。基準値を大きく超えると、急性・慢性肝炎や肝硬変、アルコール性肝炎などの病気が疑われる。GOTはAST、GPTはALTともいわれる。

●γ(ガンマ)・GTP
 アミノ酸の代謝にかかわる酵素で、アルコールや薬剤で肝細胞が破壊されると高値になる。特にアルコールには敏感に反応するので、アルコール性肝炎の診断に役立つ。飲酒の習慣がある人は、この数値が基準値内にあれば「もっと酒を飲んでも大丈夫だ」などと誤解しがちだが、大量のアルコール摂取は肝臓を傷める大きな原因になり、肝炎や肝硬変のリスクが高まるので厳禁。

●LDH
 血清中の乳酸脱水素酵素の濃度。体内のブドウ糖がエネルギーに変換されるときに働く酵素で、肝臓や心臓、腎臓などの組織に異常があると高くなる。ほかの数値と合わせて病気の判断をする。

●HBs抗原・HBs抗体
 ともにB型肝炎ウイルスへの感染を調べる検査。両方とも(-)なら感染なし。HBs抗体が(+)なら過去に感染していたが、現在は治癒していることを、その逆にHBs抗原が(+)なら現在感染していることを示す。

●HCV抗体
 C型肝炎ウイルスへの感染を調べる検査。(+)なら、現在または過去に感染していると考えられるので、詳しい検査が必要。C型肝炎は自覚症状がないまま進行し、慢性化する確率が高く、健診で発見される例が多い。


脂質の数値

●総コレステロール
 血液中のコレステロールの総量。脂質の一種であるコレステロール自体は細胞膜やホルモン、胆汁酸などの原料となり不可欠なものだが、多すぎると動脈硬化を引き起こし、生活習慣病の原因になる。

●中性脂肪
 コレステロールと同じ、血液中に存在する脂質の一種で、エネルギー源として利用され、余分な物は皮下組織や肝臓に蓄積される。中性脂肪値は肥満度に比例して高くなる。血中で増えすぎると、動脈硬化を進める環境をつくってしまう。肝臓で増えすぎると脂肪肝になる。

●HDL・C・LDL・C
 HDL・Cは善玉コレステロール、LDL・Cは悪玉コレステロールとも呼ばれる。LDL・Cはコレステロールを体のすみずみに運ぶ役割を持っているが、増えすぎると血管を詰まらせたり、動脈壁に付着したりして、動脈硬化の原因になる。HDL・Cは血液中の余分なLDL・Cを取り除いて肝臓に運ぶ役割がある。


腎臓機能

●尿たんぱく
 尿に含まれているたんぱく質のこと。腎臓が正常に働いていれば、尿にはごく微量のたんぱくしか含まれないが、腎臓や尿細管などの機能が低下すると、尿中に多量のたんぱく質が漏れ出してしまう。腎臓など尿路の異常を知る手がかりになる。健診で尿たんぱくが出ると、(±)(+)のように記載される。

●尿潜血
 明らかに見てわかるような血の混じった尿(血尿)ではなく、肉眼ではわからない程度に赤血球が混じった尿のこと。健康なら尿潜血が出ることはまずないが、腎臓や膀胱尿路に異常があり、尿中に赤血球が混じると、(±)や(+)として判定される。

●尿素窒素とクレアチニン
 尿素窒素は腎臓の機能を調べる検査、クレアチニンはとりわけ腎臓の排せつ機能を調べる検査で、両方を総合して腎臓の健康状態を判断する。両方とも腎臓の機能に異常があると高い数値になる。

 尿素窒素の数値は異常に低くなった場合も問題で、肝臓の機能が低下している疑いもある。


糖尿病の数値

●尿糖
 血糖値が上がりすぎて、腎臓の処理能力が追いつかなったときに尿に漏れ出してしまうブドウ糖の量。陽性の場合、健診結果に(±)(+)などと記載される。尿糖が多いとまず疑われるのは糖尿病だが、尿糖だけでは確定せず、空腹時血糖値やブドウ糖負荷試験の結果と重ね合わせて診断する。

●血糖
 血液中のブドウ糖の濃度。空腹時(食後6時間以上)の測定値のこと。食事直後にグンと上がり、その後緩やかに減ってくるのが特徴。糖尿病や糖代謝異常の判断に使われる。

●HoA1c
 グリコヘモグロビン。血液中のヘモグロビンと血糖が結びついてできるもの。血糖値が高いとHoA1c値も上昇するが、一度作られると数カ月は消滅しない性質がある。検査前の食事や運動の影響を受けないため、過去1~2カ月間の血糖状態を知るのに有効。


痛風

●尿酸
 体内の新陳代謝によってできた老廃物で、健康なら腎臓から尿中に排せつされる。尿酸ができすぎたり、腎臓の障害のために排せつがうまくいかなくなると、血中の尿酸値が高くなり、そのまま放置すると、痛風や尿路結石などを引き起こす原因になる。


血液成分の数値

●赤血球数と血色素(ヘモグロビン)量
 血色素(ヘモグロビン)は、赤血球に含まれる、赤い色素のこと。肺で受け取った酸素を全身の細胞に運び、不要な二酸化炭素を回収して排出する働きをもつ。赤血球数が多くても血色素が少なければ酸素の運搬能力が劣るため、貧血の症状を起こしやすくなる。

●ヘマトクリット
 血液中に赤血球が占める割合で単位は%(パーセント)。遠心分離器に血液を入れ、沈殿した赤血球の比率を測定する。赤血球数、ヘモグロビンと密接な関係があり、これら三つを総合して、貧血の症状を診断する。社内健診によっては、貧血の項目には、さらに「MCV」「MCH」「MCHC」などの結果を「参考値」として記載することもある。これらの項目は鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血など、貧血の種類や原因を診断する。

●白血球数
 血液中の白血球の数。白血球は体内に侵入した細菌やウイルスと戦い、無害化する働きがある。そのため細菌感染症や体内の炎症、潰瘍(かいよう)などがあると白血球数は増加。喫煙やストレスでも増加する。反対に少ないと再生不良性貧血などの病気が疑われる。


がん検診

●CT
(Computed Tomography・コンピューター断層撮影装置)。X線を照射し、コンピューター処理をして人体を輪切り状にした断層写真を作り、体内の様子を知る検査。患者はあおむけになってガントリーと呼ばれる装置の中をゆっくり移動すると、検査部位にX線が照射される。CT検査では単純X線検査ではわからない部位の検査や、より精密で鮮明な画像を得ることができるので、各種のがん検診、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍など脳の病気の検査に使われる。

●MRI
 (Magnetic Resonance Imaging・磁気共鳴画像装置)。磁気を体内の水分に反応させて作られた精密な断面画像から、病変部を発見する検査。X線では隠れてしまう、骨に囲まれた部分の臓器も撮影できるのが特徴。体の横断面だけでなく縦断面、斜断面などあらゆる角度から撮影も可能。各種がん検診や脳の病気の検査に使われる。体への負担が少ない検査。

●PET
 (Positron Emission Tomography・陽電子放射断層撮影装置)。陽電子(ポジトロン)を放出する薬剤を使って、様々な角度の断層画像から病変部を見つける検査。同時に体の組織のブドウ糖代謝、アミノ酸代謝、酸素消費量なども測定でき、がんの診断に有効。CT検査やMRI検査で発見できなかったがんを発見することも可能。ただし設備や費用の問題で、受けられる医療機関は限られている。

●喀痰(かくたん)細胞検査
 肺がん検診で行われる検査。痰の中の細胞を顕微鏡で観察し、悪性の細胞がないかどうかを調べるもの。40歳以上で長期の喫煙習慣がある男性は、胸部X線検査で異常がなくても、定期的に調べるとよい。

●胃内視鏡検査
 食道や胃、十二指腸の潰瘍やがん、ポリープがあるかどうかを調べる検査。のどに麻酔を行ってから、先端に数個? のレンズや小型カメラのついた管(内視鏡)を口や鼻から入れて、食道や胃、十二指腸の様子を直接観察する。

●大腸内視鏡検査
 大腸のポリープやがんの発見に欠かせない検査。X線検査で異常が見つかり、さらに詳しく調べるときなどに行う。先端に数mmのレンズや小型カメラのついた内視鏡を肛門から入れて、直腸から大腸全体の粘膜を直接観察し、診断する。ポリープなど病変部が見つかったらその場で切除することもできる。検査と同時に手術ができるのがこの検査の利点。

(取材・文/船木麻里、構成/池田 悟=編集部)




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最終更新:2月19日(火)13時54分

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