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 偏差値が
 上がる節約、下がる節約



プレジデントファミリー

2012年10月4日(木)9時0分配信

White Catのブログ-偏差値が上がる節約、下がる節約

小山さん直伝「やってはいけない節約のパターン」
家族のために節約! その思いは尊いですが、なかには残念な節約や副作用の強すぎる節約も。ズバリ節約の勘所を伝授しましょう。


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■最優先すべきは子供への影響

 収入が伸び悩む中での消費増税。節約して家計を引き締めなくては、と思っている方も多いのではないでしょうか。
 多くの方は私が感心してしまうくらい節約をされています。しかしその中には「ダメな節約」が少なくありません。節約は本来、「支出を減らしてお金を貯めるためにするもの」ですが、いつの間にか節約そのものが目的になってしまっているのです。
 上の図は、私がやってはいけないと思う節約のパターンをまとめたものです。
 たとえばモノを大切にする、エネルギーを無駄にしない、という意識を持つのは尊いことですが、古い家電を使い続けると電気の消費量が多いですし、事故を起こす危険性も。クルマの暖房を我慢するというのも、あまり意味がありません。
 こうした節約は効果が得にくいばかりか、「節約のために我慢をしている」「私は頑張っている」という意識から、「たまにはいいか」と外食が増えるなど、リバウンドを起こすこともあります。

 過度な節約で家族に負担を強いるのもありがちなパターンですが、むしろ、子供が穏やかでいられる時間を増やして勉強に集中できる環境を整えてあげたほうが、将来の教育費が抑えられるかもしれません。本当に節約効果があるか、無理をしていないか、少し立ち止まって考えることが大切です。
 スーパーでは閉店間際に割引シールが貼られるのをじっと待っている人がいます。たしかに節約効果はありますが、家では子供が宿題をしながら食事を待つ時間帯。何十円、何百円を節約するのと引き換えに、子供との時間を犠牲にしているかもしれません。節約のために時間を使い、家族と過ごす=幸せの時間を削るのでは、意味がないように思います。

 では、節約はするべきではないのでしょうか。私のおすすめは、「偏差値が上がるようなお金の使い方をする」ことです。
 参考書を図書館で借りるという節約術がテレビで紹介されていましたが、これは本末転倒。大事なところにアンダーラインを引いたり、繰り返し目を通すことで頭に入っていくものであり、借り物ではそれができません。むしろ自分で本屋さんに行かせ、たくさんある中から自分に合ったものを比べながら選ぶことが大切です。
 そのうえで、なぜ必要なのか、どんなポイントで選んだか、何を目標にし、どんな日程で実行するかを考えさせ、申請書や稟議(りんぎ)書のようなものを書かせたり、口頭で説明させるといいと思います。目的意識を持たせることができ、加えて、お金の大事さを教えることができるでしょう。

 節約の一環として、ポイントを集めるためにクレジットカードで買い物をする人も少なくありませんが、子供には現金をやり取りする様子を見せることも大切です。幼い子はとくに、クレジットカードがあれば何でも欲しいモノが手に入る、と思い込む危険性があります。損得だけで考えるのではなく、ちょっと立ち止まって子供への影響を考えることを心掛けるのです。


■一番大切なのは「上手な使い方」

 お金の使い方は子供に伝染します。私は学生時代、初めてのアルバイトで得たお金を全額、両親へのプレゼントに充て、大目玉を食らいました。一生懸命働いて得た報酬を無駄遣いしたと言われたのです。就職後ならともかく、学生には学生なりの使い方がある、と考えたのでしょう。今なら親が私に教えたかったことがよくわかります。

 国民年金の保険料や給食費を払わないなど、義務を怠る節約は言語道断ですし、公共の場でモバイル機器の充電をするといった犯罪まがいの節約もすべきではありません。
 外食をするにしても、お母さんが節約疲れしたための外食は「無駄遣い」ですが、家族でゆっくり楽しむための外食なら、子供は「上手なお金の使い方」を身に付けられると思います。
 自治体の広報誌(市報など)には、子供のスポーツ教室やカルチャー教室など、無料や安価で利用できるイベント、施設などの情報が掲載されることがあります。そういった情報を集めて参加することも、子供のためになる、「意味のある節約」です。
 子供と一緒に、時には夫婦でお風呂に入るのも、ガス代を節約しながら時間を共有できるなど、相乗効果のある節約です。

 私には小学校2年生と幼稚園の子供がいます。小学校でPTAの副会長を務めていますが、パート勤めで忙しいという理由から、役員をやりたがらないお母さんが多いのには驚きました。
 全国の高校に奨学金をテーマにしたセミナー講師として伺う機会も多いのですが、学力の高い学校ほど、多くの保護者が参加され、偏差値の高い学校ほどPTAの役員が決まるのも早いと聞きます。皆さん働いていても、ほんの少し効率を高めるなど、うまく時間のやりくりをして学校の仕事に取り組むという方が多いそうです。
 自分がPTA活動をして思うことですが、学校の様子もわかりますし、親同士が情報交換できる貴重な場でもあります。
 また、こうした親の姿を見せることで子供も学校とのかかわり方を感じ取り、親子で学校のお手伝いをするようになれば、自然と学校もいい方向に変わっていくはず。目先の収入だけではなく、時間を上手にやりくりして子供の学校に積極的にかかわる。長い目で見れば、教育にもいい影響があると思います。

 幸せを削ってお金を増やしても仕方がありません。家族が幸せになる節約を心掛けましょう。
 節約、またお金をどう使うかにも、クリエーティブな発想が求められます。



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ファイナンシャルプランナー
小山信康
FP事務所フライフ・アレンジメント代表。CFP。教育資金アドバイザー。
『やってはいけない節約』
『貯金のできる人できない人』
『お金持ちは2度「カネ」を生かす!』など著書多数。

高橋晴美=構成

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最終更新:2012年10月4日(木)9時0分

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