フリック・コレクションに初めて訪れた時
一番印象に残ったのは、
次の肖像画です。


「Lady Hamilton as ‘Nature’」
by George Romney

着飾った貴婦人の肖像画が多い中、
タイトルの通り自然な美しさ
柔らかな微笑みに惹きつけられます。

音声ガイドを聞いてビックリ。
貧しい生まれからナポリ公使夫人となり
後にあの有名なネルソン提督の愛人となった
18世紀のスーパースターだそうです。びっくり

彼女は「アティテュード」という
ポーズや踊り、
演技を取り混ぜたパフォーマンスで 
「生きた芸術品」と大評判になり
かのゲーテまで魅了されたとかキラキラ

ただこの絵は
彼女がまだ技巧を凝らすようになる前、
17才の時の自然な姿が描かれているそうです。

            ピンク薔薇    ピンク薔薇    ピンク薔薇

はじめエマ ハートと名乗っていた彼女は
その美貌ゆえチャールズ ・グレヴィルという
貴族の恋人になりました。
しかしグレヴィルは
自分の結婚の妨げになるからと
エマを叔父のサー・ハミルトンに
愛人として押し付けてしまうのです。

財産狙いで
叔父の再婚を阻止する意図もあったとか。ガーン
ところがサー・ハミルトンは心から
エマを愛したのですね。爆笑ラブラブ
二人は正式に結婚して 
エマはレディ・ハミルトンと呼ばれるように
なります。

ナポリ公使夫人として
また「アティテュード」でも大評判だったエマは
特使としてやってきたネルソン提督と
運命の出会いをします。恋の矢

でも二人が恋に落ちたのは
ネルソンが隻眼隻腕となった後だそうです。
大怪我をした英雄ネルソンを献身的に
看護したエマ 右矢印  恋に燃え上がる二人 ドキドキメラメラ

それぞれに配偶者がいたので不倫関係だったのですが、当時の貴族社会は
公の場で節度を保っていれば
愛人オッケーでした。目
しかし人目をはばからないアツアツぶりと
セレブリティカップルですから
世間のひんしゅくをかってしまいます。
一般庶民の関心も集め、
新聞が二人の動向や、エマのファッション、
食事のメニューまで掲載したほどで
現代のセレブゴシップの先駆けみたいです。
二人の間には娘も生まれますが、
サー・ハミルトンは 寛大に見ておりました。
(ネルソンの奥さんは
         腹わた煮えくりかえってそうムキー )

女性として全てを手に入れたかのような
エマでしたが、
後に夫は亡くなり
ネルソンは戦死してしまうと
お酒とギャンブルに溺れ
借金地獄に陥り、結局惨めな最期を遂げます。

ネルソンは自分の兄に財産を残し、
エマ母子の世話を託したにもかかわらず
約束が守られなかったようです。
やはり身内は二人の関係を
苦々しく感じていたのでしょうね。

次の動画で、エマ関連の色々な肖像画を見ることができました。
説明も英語字幕でわかりやすいです。
映画化された「美女ありき」の画像も
一部入っていました。
(私は興味が高じて映画も観ました。
ヴィヴィアン・リーがとても美しい ラブ)






エマの晩年は世間から笑われる惨めなものになってしまいましたが、貧乏になったのは
ネルソンを頼って来た困っている人々へ
ネルソン戦死後も援助を与えたことが
一因だったそうです。
やはりそんな優しい内面があったから、
周囲の人々を惹きつけたのではないでしょうか。

あの悪名高いデュバリー夫人も
明るく親しみやすい性格が魅力だったというし、
天性の美貌だけでは下層から最高層まで
上昇できないでしょう。

「出自」の方が
本人の努力も何もないのに尊ばれ、
「成り上がった人」の方が
時に冷笑されるのは
何だか不条理を感じます。