(前回のあらすじ)

生物のT先生(だんご似)とのエセ文春砲が校内にはびこり困惑する、女子高生かおちゃん。彼女の生物に限った異様な成績の良さには秘密があった。



❪第5話 37兆2000億個の細胞たちと女子高生❫

しかし、頭脳はごく普通の私。いくら教科書を読み込んだからとはいえ、全国レベルの成績を得るには、「たまたま」「偶然」が連ならない限りは難しい。

もう、30年近く前の出来事なので、うろ覚えの記憶と状況推理とはなるのだが、恐らく、こういうことだろう。

確か、あのときの点数は、ミスが1個あったくらいでほぼほぼ満点だったと思う。

テスト用紙が配られた時、白い神、いえ、白い紙の上で微笑むように存在する、あの方(?)


動物細胞(*≧∀≦*)

試験内容作成者も、私と同じく動物細胞萌えな方だったのだろうか。全て『私』の好みにどストライクな問題ばかりだったのだが、その時の私は、『皆』動物細胞萌えだと認識しており、

「なんちゅう簡単な試験やぁ~(゜ロ゜)」
くらいにしかとらえていなかった。

しかし、今振り返って考えてみると、この度の試験は『中学3年間の学習内容』というカテゴリー。

そして私は、高校に入学して初めて、高校1年の生物の教科書を見て、動物細胞に萌えている。

そこで、ある仮説を立ててみた。

『試験内容の不備で、生物のみ中学3年間のカリキュラムに含まれない問題が点数の比重を占めていた。数学や現代文、中学英語等は、数式やsentenceの理解が重要なので、予習に力を入れる勤勉な学生は多く、(塾なども早めの対策を行いがちな科目)一部の優秀な学生が上位を占めるが、生物に関しては、勤勉な学生たちですら、比較的予習に力を注ぐ者は少ない。その中で、たまたま授業を受けていない動物細胞に萌えたことをきっかけに教科書を読み込み、結果として、全国の同級生を出し抜き予習した状態で試験を受けた、そんな偶然の産物

↑読みにくいと思うので、一言で

『私がたまたま習得していた試験問題の内容を、同級生たちはまだ習得していないため、謀らずとも他を出し抜いた。』

ってなところでしょうか?

こういう仮説も、今となっては想像でしかないですがね。

そして、第1話の冒頭に戻るが、私とだんご、いえ、T先生が、夏休み中に香港へ隠密旅行に出かけたというデマの発端は....

「出題予定範疇外の試験問題」


「なぜ、彼女(私)だけが答えを記入できたのか?」


「試験問題漏洩」



「生物教師とデキてる?!」


何じゃあ ゚ ゚ ( Д  )!
この理論は!!!

もはや、理論でも何でもない。

なぜ、香港?


こんなポップなビジュアルの二人だから、皆が香港のイメージを駆り立てられたのだろうか。

恐るべし。

恐るべし、女子高生という生き物の妄想力。

で、

私とT先生の香港隠密旅行のガセネタを信じていたSちゃんに一言、

「だんごと香港、行ってないで......(゜ロ゜)」

と、伝えるやいなや、

「そうなん?あれ、デマなんや~(*≧∀≦*)。で、昨日のTVでやってた○○なんやけど♪.....」

もう。

もう話が終わっている。

そして、次の話題に変換している。

この、切り替えの速さもまた、女子高生という生き物の生態なのであろうか?

ヒト1人を形成する元々は1つの受精卵であったものが分裂した、37兆2000億個の細胞群。
その中の『女子高生』というDNA情報を伝達するメッセンジャーRNAの存在に想いを馳せながら、私は、楽しそうに昨夜のトレンディなドラマの内容を語るSちゃんの、底抜けに弾けるような笑顔をぼんやりと眺めていた.......。

(次回、最終回。多分。)