キネ旬高良健吾 そして 安田匡裕さん
「最初、オファーをいただいた時、引き受けるかどうか迷ったんですよね。“人が死ぬことで泣かせる”話なのかなと思って。今、そういう映画は多いけど、正直僕は苦手だから…」
「この映画を企画した安田匡裕さんが、僕の出演作を『ハリヨの夏』から全部観てくれてたんです。僕も安田さんの作ってきた映画が好きだったし。しかも、その出会いから数日後、安田さんが突然亡くなられたんですね……。本当にびっくりして。もうこれは絶対やるしかないって」
スケジュールがきつい中、安田匡裕さんに会い、安田さんが高良くんを良く知ってくれていたことに感動。出演を決意します。
「うちも転勤族だったので。学校が替わって、最初にクラスの人たちと接する時って本当にキツいんですよ。両親に当たるのも実際覚えがあるし。『転校なんて全部親の勝手だよな』って思ってましたから」
安田さんはここまで彼の素性を見抜いていたのでしょうか?とても偶然とは思えないエピソードです。
安田さんは「いいやつがいるんだよ」「絶対にこれから出てくる俳優だから」と国本雅広監督に推薦。国本監督も、会った途端に主人公“太郎そのもの”に見えたそうです。
安田匡裕さんは近年、「空気人形」「ディア・ドクター」「歩いても歩いても」「ゆれる」「ココニイルコト」「誰も知らない」を企画。
「誰も知らない」はカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞、フランダース国際映画祭グランプリ、シカゴ国際映画祭金のプラーク賞、その他日本でも数々の映画祭で1位を取りました。「ゆれる」もカンヌ出品作。国内でも多数の映画祭で受賞し、話題を呼びました。
是枝裕和監督、西川美和監督らとタッグを組んで、世界市場で“心をゆらす”邦画を企画して来ました。
90年代は製作、プロデューサーとして「東京上空いらっしゃいませ」「お引っ越し」「夏の庭 the Friends」等の話題作を相米慎二と。「東京上空…」「四姉妹物語」では牧瀬里穂という時代のミューズを世に出しています。
私が思うに実力ある監督と良作を作ってきたのが安田匡裕さんの生きてきた道だと思います。
TVで「瑠璃の島」などを撮ってきた国本監督の初映画で、時代を背負っていく俳優に出会わせたのは偶然ではなかったのでしょう。高良健吾くんは今年だけで9作の映画に関わっています。
その出会いを見逃さずにすんだことに嬉しさを感じます。
