大相撲を10年半、ちゃんこ屋を苦節13年の
元力士の観点から大相撲を語ります。
第十二回目は「千代の富士」
言わずと知れた昭和の大横綱 千代の富士関
お相撲さんイコール、デブみたいなイメージ
がある中、この力士を見てデブと言えるか?
と言える筋骨隆々の美しくカッコイイ力士。
見た大相撲の取り組みが…
「千代の富士対北の湖」でした。
「カッコイイお相撲さんがいるな〜」
みたいな感じでした。
その時まさか何年か後、自分が力士になると
は夢にも思っておりませんでした。
中の大横綱で、目も合わせられない雲の上の
存在でございました。
現役中一度も会話をしたことがありません。
地方巡業の時は各部屋でちゃんこを作り
食べていたのですが、千代の富士関がいる
九重部屋の側は勿論、見られない場所を探し
取らないと関取に怒られるくらいの存在で
ございました。千代の富士関が食べ始めたか
確認してから他の関取衆が食べ始めるくらい
私が一番記憶にあるのは、本場所中に付き人
で支度部屋にいると、ある時間になると関取
も付き人達もソワソワしだして、何時もは
片方しか開かない扉が両方ドンと開いて…
支度部屋の一番奥の所まで、サッと力士のいない一本道が出来ます。
そこを黒い着物を着た千代の富士関が雪駄の
音をならし他の関取衆の「シー」という挨拶
の中を颯爽と入って行く姿を見て、強くなる
とこんな事になるんだ〜と…
そこにいた関取衆や付き人達みんな、あんな
風になりたい…なんて憧れていたと思います。
大横綱千代の富士に挑んだ伝説の一番は
当然、同期生一同貴花田を応援しましたが
したので複雑な気持ちでございました。
あぁ…千代の富士が負けちゃった〜みたいな
時は、付き人業で花道にいましたが、ぐっと
がいるだけで、緊張してしまい何故か良い
相撲を取って自分という存在を知って欲しい
なんて思ってしまい、更に緊張して負けたの
を思い出します。