初場所はいよいよ中盤戦。5日目、新横綱の豊昇龍が千代翔馬に敗れて2敗目。大関琴桜は早くも3敗目となった。
遠藤(西前頭9枚目)、阿武剋(おうのかつ=西前頭12枚目)も敗れて、幕内では全勝力士が消えた。
勝ち続けることは、ほんとうに難しい。
初場所までの幕内力士の勝率を探ってみると、突出した力を持つ力士は、横綱、大関を含めて意外に少なかった。
三役以上では、豊昇龍が248勝152敗で、6割2分。
琴桜は246勝160敗で6割05分。同じく大関の大の里が75勝30敗で7割1分。
これ以上数字を連ねると煩雑(はんざつ)になるので省略するが、小結以上の力士では全員、5割以上の勝率を確保していた。
三役以下では高安、正代、平戸海、尊富士、迫桜鵬、欧勝馬、御嶽海などをのぞいて、勝率5割まで届かない力士が多い。
プロといえども、勝ったり負けたりの連続なのだ。
過去の力士では、優勝45回を数える元横綱白鵬が8割4分5厘、元横綱大鵬が8割3分8厘。いずれも断トツの実力を示している。
69連勝と、いまだ破られていない大記録を打ち立てた双葉山が8割02分、豊昇龍の叔父の朝青龍が7割9分5厘、元横綱貴乃花が7割6分3厘と、高い勝率を記録している。
大相撲史上最高の勝率と言えば、何といってもこの人、江戸時代に活躍した雷電(らいでん)為右衛門。
254勝10敗2分け。勝率9割6分2厘。この数字だけ見れば、史上最強の力士と言われるのも納得だ。
年1、2場所であったり、現在の年6場所制という時代の違いを考えると、単純に比べることはできない。
ただ彼らは、突出した力と技で勝利を重ね、それぞれの時代に大相撲を支え、熱狂的なブームを巻き起こしてきた。
現在の力士に〝現代の双葉山〟〝現代の雷電〟を望むのは無理でしょうか。
いま、そんな力士を見たいと思うのは幻想だとしたら、ちょっと寂しいなあ…。