夏場所を制するのは誰か。今場所小結に昇進した大の里(23歳)はその有力力士の一人だ。9日目は平戸海(東前頭2枚目)に敗れたものの、大関琴桜と並んで優勝争いを引っ張っている。
3月場所の優勝は前頭最下位の地位だった尊富士(たけるふじ=25)に先を越され、その悔しさも原動力になっているのかもしれない。
一方で今場所は、横綱照ノ富士をはじめとする上位9人中5人が休場。この異常事態に〝大相撲界も世代交代か〟という声もあがる。
ただ、ほんとうにそういう事態なのか。
世代交代といえば、一般的には年をとった人が引退して若い人が取って代わることだ。しかし今の相撲界の休場者は、けがなどで休場しているだけだ。故障続きの32歳、照ノ富士からは目が離せないが、あとはまだまだ世代交代という年齢ではない。
あえて言えば、いまの相撲界を強く印象づける力士がなかなか誕生してこないだけなのではないか。
かつては栃若時代(栃錦、若乃花が争った)とか、柏鵬時代(横綱大鵬、柏戸が競った)、曙貴時代には曙、貴乃花が激しくしのぎを削り合い、相撲人気を盛り上げた。
最近でいえば、横綱白鵬がとてつもない強さを発揮して白鵬時代をつくった。照ノ富士の驚異的な復活も相撲ファンを広げた。
こうした力士が最近はなかなか出てこない。幕内の最高優勝はまるで日替わりのように若手力士らが活躍して盛りあげるが、名前の浸透が追い付かない。
昇進、さらには陥落のスピードもめまぐるしく、年配のファン層からは「なかなかついていけない」という声さえあがる。
相撲界では横綱、大関が最も強いはずだが、これが最近は通じなくなった。番付はあってないようなものだ。
こうした現象は果たして一時的なことか、それともこれからも波瀾万丈の土俵が続いていくのか。どうも見えにくい。
こんな見方をするのも歳をとってきた表れかもしれない。が、じっくり鍛えてきた強い力士を見たいという気持ちは、どうも捨てきれない。
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