相撲界でよく〝土俵にはカネが埋まっている〟ということが言われます。
十両、その上の幕内、さらに三役、大関、横綱と強くなっていけばいくほど実入り(給料、懸賞金、さらにはお祝いなど)は多くなる、だからガンバレと、指導者や先輩が力士にハッパをかけるわけです。
相撲協会の理事長も務めた元横綱の初代若乃花(花田勝治さん)に話を聞いたときも「土俵には金が埋まっているんだよ。それを掘り出す努力をするかどうかだ」と語っていました。
花田さんは子どもの時から大変な苦労をした方です。相撲界に入ってからは家族を支えるためと、すさまじい稽古で横綱まで駆け上がりました。話に説得力がありました。
最近、茨城県にできた豪華な新しい二所ノ関部屋(元横綱稀勢の里親方)を見ても、確かに〝土俵には金が埋まっているのかもしれない〟と思うこともあります。
こんなとき、「土俵にはなにもない。単なる赤土だ」と語っていた元関脇の故玉ノ海梅吉さんの話を思い出しました。
玉ノ海さんは「その赤土だという認識をしっかり持たない限り、土俵から価値あるものは得られない」とも。
「土俵の下には、地位も名誉も、財産も埋まっている」という、力士を鼓舞する意見と真っ向からぶつかるものでした。
これに対して玉ノ海さんは、目先の勝ち負けにばかりこだわって、変化したり奇襲作戦に頼って、真正面から力を出し切ることを惜しむ相撲はみっともない、現役でやれる時間は限られている、悔いの残らない相撲を全力挙げて取りなさい、と、NHKテレビの相撲解説席で激励したそうです。
うーむ……
プロサッカーの一流選手や大リーグの野球選手の年棒に比べて、大相撲力士のそれは少ない。それでも幕内に昇進し、さらに上に行けば、一般勤労者よりもぐんと高額給料となり、実入りも増えてきます。
スポーツ選手の努力や成功は、見る人や青少年に夢を与えるものであり、相応の報酬(対価)があって当然です。
その意味では玉ノ海さんの話は、今の相撲界では通じにくいかもしれません。
それでもそれでも! 力士、指導者が心の奥にしっかりしまっておいていい話、のような気がします。
10日から始まる名古屋場所では、ほんとうに相撲が好きな人の期待に応える熱い相撲をぜひ。
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