東前頭4枚目の若元春(わかもとはる)の相撲が光る。
10日目の相手は隠岐の海。組んだら力を発揮するベテラン。若元春は立ち合い踏み込んで低くあたり、右からおっつけてジリジリ前へ寄り立てる。隠岐の海に反撃の機会も与えなかった。
この相撲を見ても、8日目の横綱照ノ富士戦での大健闘がけっしてたまたまではなく、着実に力をつけていることがわかる。
ご存じ、若隆景の一つ違いの兄。弟は春場所には幕内優勝を果たし、大関昇進も取りざたされる第一人者だ。
紹介されるときはいつも〝若隆景のお兄さん〟がついてまわる。
本人も「(若隆景の)バーターです」と語っていたそうだ。
バーターとは物々交換のことだが、ここでは売れるもの(弟)と売れないもの(自分)をセットにして売り出す、ような意味らしい。
強い弟の引き立て役だ、と自虐的に語ったようだが、今や弟を超えるような勢いだ。
動ける体だ。身長185㌢、体重は139㌔。幕内平均体重(約160㌔)を下回るが、思うような動きができる理想的な体だと思う。照ノ富士戦でも、181㌔の横綱をグイグイ押し込んだ取り口には、目を見張った。
場所前には、多くの有力力士が、所属する荒汐部屋に乗り込んできた。彼らの目的は弟の若隆景と手合わせすることだが、これも若元春にも絶好の稽古の場になったかもしれない。
いまや、若隆景の兄を乗り越えて、主役の一人になりつつある。これは弟にも大きな刺激になっているはずだ。兄弟で場所を盛り上げていけば、土俵はさらに面白くなっていく。
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昨日のブログで翔猿(とびざる)の決まり手を蹴返しとして、二日連続と書いてしまいましたが、正確には「はたきこみ」でした。蹴返しが飛び出して志摩ノ海が崩れたのを見て、蹴返しと早とちりしてしまいましたが、最後は上からはたいていました。申し訳ない。気をつけます。