夏場所では初場所では若元春(関脇)、若隆景(小結)両兄弟の相撲に注目している。
3日目、若元春は、今場所力をつけている王鵬の鋭い突き押しに体が起きてしまい、つきだされる。
若隆景は、横綱を目指す豊昇龍の鋭い突き押しも何もできないまま、土俵を割ってしまった。初日に横綱を下した力を発揮できる場面がまったくなかった。
しかしまだ3日目。勝負はこれからだ。
最近の相撲界では兄弟力士や、親子で力士という例も増えてきた。それでも兄弟そろって三役の位置を占めるのはやはり珍しく、すごいことだ。
よく知られているところでは若乃花、貴乃花の両兄弟がそろって横綱に昇進したことだろう。当時の熱狂ぶりはすさまじく、まさにアイドル扱い。入場券もあっという間に完売だった。
若元春、若隆景の昇進の話題は、それには及ばないものの、相撲ファンから見れば魅力的な存在だ。
弟の若隆景は、新関脇となった2022年春場所で初優勝を遂げた。体はそれほど大きくないものの、どんな相手にも真っ向から挑む取り口が共感を集めた。大関候補という声も上がったが、その後けがで長期の休場を余儀なくされた。
昇進では一歩遅れた兄の若元春だが、熱心なけいこが徐々に実を結び、じりじり番付を上げて今や三役の常連力士だ。
二人に共通するのは、実に真面目に相撲に向き合っていることだ。そして、土俵際に追い込まれても最後まであきらめない。
取り口も話しぶりも決して派手さはないが、相撲の道を究めようとする気持ちは伝わってくる。
力士になれば誰でもまず、関取と呼ばれる十両をめざす。幕内力士にあがったら三役へ、さらにそのうえへ。しかしそこまで到達できるのは、600人近い力士の中でほんとうにひと握りだ。
それを考えても、兄弟の同時三役という番付にはなかなか出会えない。
兄は31歳、弟が30歳と、力士にとっては最も力が発揮できる年齢になった。互いに切磋琢磨し、さらにもう一歩階段を上がっていく両者の姿をぜひ見てみたい。