厳しい大相撲の世界で、伸びていけるかどうか。その分かれ目は、稽古にひたむきに向き合うかどうか、かもしれません。
大相撲九州場所で、21歳の熱海富士(あたみふじ=西前頭8枚目)を見ながら、改めてそう感じました。
千秋楽、関脇琴ノ若に引き落とされて敗れ、念願の初優勝には届きませんでした。
しかし先場所に続いて今場所も優勝に絡む活躍。しっかりと力をつけていることを証明しました。
事実上の優勝決定戦となった14日目の大関霧島戦では、力の差をつきつけられました。霧島の場所前の稽古も半端ではなかったと聞きます。
それでも前日13日目の元大関高安戦で、何度も不利な体勢に追い込まれながらもあきらめず勝利をもぎとった。
日頃から十分な稽古なくしてはあり得ない、ねちっこい力相撲でした。
有名な観光地の地名を背負ったこの若手力士は、どうやって力をつけてきたのか。
部屋は、厳しい稽古で知られる伊勢ケ浜部屋。横綱照ノ富士をはじめ、幕内で最も多い5人の幕内力士がいます。この恵まれた環境で、十分すぎるほどの稽古を積んできた。なんといってもこれが大きい。
加えて本人の性格、努力です。
指導する伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「まだまだ実力をともなっていないが、非常にひたむきにやる。これが成長につながっている」と、熱海富士を見ています。
普段から弟子をめったにほめることがない師匠の発言に、えっと思いながらも、一方で、やはりそうかと納得しました。
大相撲界には、勝てなくても仕方がない、と思ってやっている力士はいません。何とか勝ちたいと、みな必死です。
しかし稽古場でみると、〝もう少しちゃんとやれよ…〟と言いたくなるような力士も、見受けます。下位力士だけではありません!
自分をごまかさず、普段からどれだけ稽古にひたむきに、真剣に向き合うかどうか。
そこが伸びていく力士とそうでない力士の分かれ目、になっていく。
社会が、相撲界がどんなに変わろうとも、これだけは変わりようのない基本かもしれません。
熱海富士が新年、どんな相撲を本場所で見せてくれるか。楽しみです。
一言。181㌔の体重は重すぎませんか。今場所、140㌔台、それに満たない力士に敗れた相撲を、ぜひ見直してほしいと思っています。
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