21歳、熱海富士(あたみふじ)の初優勝ならず!
秋場所千秋楽の優勝決定戦で大関貴景勝は、いきなり左に変化して一瞬のはたきこみ。
平幕力士相手に真っ向勝負を避けた一番は、何とも後味の悪い決定戦でした。
ま、そのボヤキはともかく、最後まで優勝を争った熱海富士の健闘は立派でした。
昨年の九州場所で幕内入りした時は〝観光地熱海から、元気な力士が出てきたなあ〟という印象でしたが、まさかここまでやるとは…。
光ったのは、今回の奮闘が決してたまたまではなかったことです。
14日目の阿炎(あび)戦はそれを象徴していました。
相手は元関脇で、優勝経験もある実力者。その阿炎が立ち合いに変化して、真っ向勝負を避けました。
右に変化し、張り手を繰り出して一気に押し込み、熱海富士は土俵俵まで押し込まれました。
しかし熱海富士はそこで踏ん張ってこらえてジリジリ反撃。最後は力で寄りたてたのです。
普段からみっちり稽古をしていなければ、できない動きでした。
阿炎が若手力士相手に変化とは。情けない限りですが、熱海富士の勢いに元関脇はビビっていました。
熱海富士は、新入幕の場所で4勝11敗と大敗。しかし十両に戻った後、稽古は量、質とも上がっていったようです。
所属する部屋には、横綱照ノ富士はじめ幕内で5人の関取を数えます。相手に恵まれ、稽古は1日60番を超える日もあったそうです。
コツコツと努力すれば、いつかは花が大きく開くときもある…そんな当たり前のことが、相撲界にはしっかり生きているのでしょうか。
ただ、注文もあります。熱海富士は最後の仕切りで、何度も足で土俵を踏みならすなど、なかなか相手に合わせようとしない。気持ちを高める独特のパフォーマンスでしょうが、相撲は相手と呼吸を合わせて始まる競技です。
さらに大きく伸びていくためにも、ぜひ改善してほしい。
体重も気になります。番付発表時には176㌔と発表されましたが、場所中に180㌔になったようです。
これは増え過ぎですよ。
巨体は足や腰に大きな負担をかけ、動きにも影響してきます。多くの先輩がそのために涙を飲んできました。
〝熱海富士研究〟が進んでくる今後、こんなこともぜひ考えてほしいと思います。
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