夏場所、5勝10敗と大きく負け越し、名古屋場所をカド番で迎えた大関正代(しょうだい)が7日目、ようやく3勝目を挙げた。
相手はここまで6連勝の逸ノ城(いちのじょう)。どっしりした動きで横綱、2大関を破ってきている。ここで正代が敗れれば、上位陣全敗という不名誉な記録が打ち立てられる。
だが、この日の正代は目の色が違った。立ち合いから動き回り、あたって左からいなして210㌔の巨体を揺さぶり、相手が苦し紛れにはたくところを、一気に押し込んだ。
「やればやれるじゃないか!」と、思わず叫んでしまった。
そう、あなたは横綱に次ぐ大関、相撲界を引っ張る看板力士なのだ。
とりあえずカド番を脱出したい、だの、名古屋は熱いから前半で貯金をつくって後半をしのぎたい、だのと、みみっちいことを言ってる場合ではない!歯ぎしりしてきたファンも多かったはずだ。
名古屋場所は、2年2か月ぶりに出げいこが解禁され、入場者の制限も取り払われるなど面白い場所になりそうだと、期待されてきた。
しかし日が進むにつれ、新型コロナ感染の勢いが再び増え始め、空席も目立つ。場所直前には元大関高安が、部屋のコロナ感染の影響で休場。7日目には大関御嶽海まで、部屋の関係者に感染者が出て休場に追い込まれた。
不戦勝、不戦敗が増え、場所は日毎に寂しくなっている。
こんなとき、大関まで黒星続き、勝つのもやっと、では、何とも締まらない。
正代にようやく大関らしい動きが出てきた。
精神論をぶつわけではないが、要は気持ちを立て直し、幕内優勝まで遂げた自分の力を信じ、それをどう引き出すか、だけに集中すればいい。多くの相撲ファンも同じようなことを考えていると思う。