本日は相撲を休んで、テニスの話です。
話の〝主役〟は、男子テニス世界ランキングトップのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)。
彼は17日から始まる全豪オープンテニスに出場するため、オーストラリアへの入国を申請しました。しかし同国政府は、コロナワクチンの接種をしていないジョコビッチ選手の入国を認めなかったために事態がもつれ、裁判沙汰に。
同国の裁判所は10日、政府の判断を取り消して、ジョコビッチ側の主張を認めましたが、実際に参加できるかどうかをめぐってはまだ動きがありそうです。
テニスに素人の人間が、なぜ口をはさむか。ジョコビッチ選手の行動に納得できないからです。
彼は、自身も明らかにしているように昨年12月、コロナに感染していますが、「コロナ感染の後で、ワクチンの接種は免除されている、だから入国させよ」というものです。
豪州政府は、医学的理由がある場合に限って接種免除の入国を認めています。自分はそれにあたるというわけですが、ジョコビッチ選手側は、免除の正当な根拠を書類で示していないようです。
世界各国を見ても、コロナ感染の広がりが続いています。このなかで、ワクチンが絶対的、究極の救世主だとは、素人でも思えません。ただ、ワクチンの接種が、感染の広がりを防ぐ有力な手段であることは、さまざまなデータが示しています。
ヨーロッパはじめ各地で開かれている大規模なスポーツ大会の開催が、コロナの感染を広げています。メジャー大会の一つである全豪オープンテニスとなれば、いやおうなしに多くの観客がつめかけ、濃厚接触の機会も広がります。
そこで新たな感染を広げない保障はあるでしょうか。ありません!
メジャー大会でたびたび優勝を重ねてきたマルティナ・ナブラチロワさんが「自身の野心より他人の健康を優先すべきだ」と、批判しているのも当然です。
彼のテニスは、誰が見ても世界トップクラスです。こういう厳しい時期だからこそ、それににふさわしい行動を示してほしかった。しかし、このゴリ押しを見ると、プレーを磨くことと、人間性の成長というのは、別なのでしょうか。残念です。