大関貴景勝(たかけいしょう)の相撲に目を見張りました。
5日目の相手は、若手ホープの琴ノ若(ことのわか)。前日ようやく初日を出したばかりの大関が、この新鋭力士にどう向かっていくのか注目しましたが、琴ノ若にまったく相撲を取らせませんでした。
立ち合い頭からあたって鋭く踏み込み、もろ手で188㌢の体を下から突きあげ。威力ある押しに、琴ノ若はなすすべもなく跳ね飛ばされました。
3連敗のあとの連勝。ただ、このままいけるかどうか。予断を許しません。
7月の名古屋場所の逸ノ城(いちのじょう)戦で首を痛めました。「頸椎(けいつい)椎間板(ついかんばん)ヘルニアによる神経根症」という厄介なけが。本人は場所前に「首のけがは治っている。若い時からやっているもので、けがは関係ない」と影響を否定しました。
しかし幕を開けてみると、頭からあたって突き、押していく持ち味の相撲は戻らず、かえって悪化しているような取り口。突き押しが通用しないと見るや、引いて相手を呼び込んでしまう最悪の内容でした。
誰が見ても改善しているどころか、相当深刻な状態。負け越せば、大関陥落です。
2度も幕内で優勝している実力派。突き押し一筋で大関にかけあがってきました。しかし最近は、けがで一場所に休場、再出場、再休場したり、大関陥落を経験するなど、思うような活躍ができず、厳しい目も向けられてもきました。
それでも「振り返るのは千秋楽が終わってから。今は集中してやるだけ」と、あくまでも強気です。
この日の力相撲が本物かどうか。試練の日が続きます。