朗読者 ベルンハルト シュリンク (著) | 大学生の読書感想文

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きまぐれ記録用ブログです。いくつになっても本が好き☺

こんにちは、サマーですウインク

 

今日ご紹介する本は「朗読者」です。

 

 

 

 

この本は少し前に読んで、母に渡してしまったので

今手元にはないのですが、とても印象深い一冊でした。

 

さて、まずは簡単なあらすじから。

15歳の少年があるちょっとした出来事をきっかけに

36歳の女性と恋に落ちる…というところから始まります。

しかし彼女にはある「秘密」があったのです。

時はドイツのナチス時代。

物語は後半にかけて急展開を迎えます。

ある日突然姿を消した彼女を、少年は数年後に偶然

ゼミの課題で見学した裁判の被告席で見つけます。

彼女は、ナチスの親衛隊に入隊し、アウシュヴィッツの看守をしていた

ことで罪に問われていたのです…。

 

ユダヤ人迫害などの時代背景を知っていても、かなり衝撃的な内容でした。

今まで、ユダヤ人目線の作品を読む・観ることが多かったので(「アンネの日記」など)

戦後、ドイツは「負の遺産」とどのように向き合っていたのか、私はこの本を

読むまで知らなかったですし、考えることもありませんでした。

ドイツ人にも戦争責任など様々な苦悩があったんだなぁと。

当たり前のようなことがわかっていなかったなと改めて感じました。。

 

そして、戦争犯罪者の裁判についても考えさせられる物語です。

集団暴力は悪とされている世の中で、戦争での暴力や殺戮は許されるのでしょうか。

彼女のように、命令され強制的に行われたことは、罪に問われるのでしょうか。

戦争犯罪は、法律で裁けるのでしょうか。

 

そんな重い内容の作品なのですが、歳上の女性に恋をする少年の初々しい感情の移り変わり、

学生としての悩みや戸惑い、家族との関係など、前半では

キャラクターの背景も主観的に丁寧に描かれており、

(私も学生なので…)感情移入することができました。

 

後半では時代背景なども踏まえどちらかというと客観的に描かれていて、

主人公の少年の精神的な成長を感じることができます。

恋愛と社会問題をうまく繋げている作品でした。

 

この本のテーマは、愛情なのか、自由なのか、尊厳なのか、

それは読む人によって違ってくるんじゃないかなぁと思います。

 

この本が名作と言われる理由が、最後まで読むとわかります。

 

ぜひ機会があったら手に取ってみてください照れ

 

 

 

さて、余談なのですが。

私は、自分の中にある漠然とした感情の答えを本の中に見つけるのが、

読書の醍醐味だと思うんです。

 

「彼女はすべてを見せてくれていたわけではない。

彼女は、彼女が見せたいと思った世界のほんの一部分を

僕に見せてくれていただけなのだ。」

 

これは、ごめんなさい、うろ覚えなのですが、

「朗読者」にあった一節です。

 

誰かを好きになるとその人のことを知りたいと思うじゃないですか?

でももちろんその人の人生にも、自分の知らない場面がたくさんあって、

それをすべて知ろうだなんてとても不可能なのに、

知らない部分があることに不安を感じてしまうことって

あるじゃないですか。

 

でもその一節を読んで私ははっとさせられました。

 

見せたいと思った世界の一部分。

みんな色々な過去があって、秘密があって、誰かと関わるとき、

私たちはその人の表面部分しか見えていないのだなぁと。

 

あ、そうだ、この本は映画にもなっているので

(しかも俳優さんと女優さんが美しい!)、ぜひラブラブ

 

 

 

 

ではまた。

さんぱいじゅんぱ。