住野よるさんの「よるのばけもの」読みました。
住野よるさん4冊目。
大好き。
以下、ネタバレありです。
主人公あっちーは、夜になると化け物になる。ある夜、クラスのイジメラレッコ矢野さんが夜休みをしているところに出会い、矢野さんを知るうちに…というお話です。
化け物になるという設定のファンタジー感と、矢野さんをイジメることで確認するクラスの中での正しさの踏み絵をするリアルさが、上手いなあと思いました。
最後まで読んでも、スッキリ解決はしないけれど、仲間意識がつくる行動の話が簡単に解決されることはないので、これが正しい終わり方だったと思います。
矢野さんの話し方は、ずっと変な句読点で切られ、読者も読みにくくてイライラします。
他のクラスメートたちもそうだけど、100パーセント悪の人とか変な人なんていなくていろんな面をもっています。
イヤな面やイライラさせられる面があるからといって、受け入れず攻撃することの恐ろしさ、いろいろ考えさせられました。
保健室の先生が矢野さんに
「生き延びなさい。大人になったら少し楽になるから」と言ったことについて
人間ってどうしてもケダモノなんだと思いました。
ケダモノだから、「自分より弱いものを狩る。」
「狩られないように、自分を守る。」
自分を守るために仲間になる。
教室なんて小さな檻でケダモノをいっしょに飼ったら、猿山の猿のように序列ができてしまう。
大人になったら、檻から出られるから、逃げるところが沢山あるから、少しは楽になると言えるかもしれない。
だけど、大人になったって、意地悪なやつはいるし、ケダモノの性質をもったやつもいるから、学校って息苦しいけど、社会における自分の身の守り方を授業ではなくて、学んでいくためのものなのではないかと思います。
ただ、人間はケダモノだけれど考える力と良心と理性があるはずだから、自分の中の暴力的な性質を抑えて、変わったやつや理解できないやつも仲間に受け入れることができたら、世の中は住みやすいと思いました。
最後にあっちーは、矢野さんを助けようと思ったわけではなく、仲間意識の正しさではなく自分の中の正しさに従って、思わずみんなの前で矢野さんに挨拶をします。
その後はどうなるのか、読者のみなさんにお任せします状態で終了。
仲間意識でつながっていた1人ずつが、イジメはやめようと気づくのがベストだけど、そんな続きはないだろうな。
王様、笠井があっちーを許したら、クラスメートたちは追随して受け入れると思うので、笠井が自分の力を確認する方法の一つとしてあっちーを受け入れる続きは、実は平穏な続きかも。『悪い子』と緑川に『上手い』と矢野さんに言われる笠井だけど、恐ろしい面以外も持っているはずと期待して。
緑川や井口があっちー派になって、矢野さんに挨拶を返したらいいなとか。
あっちーは他人がイジメられてるのなんて見たくないとずっと思いながら、クラスの中で暮らしていて、他にも同じように感じている人が現れたらいいなとか、
ファンタジーとして、イジメをするけどいいところもあるクラスメート達たちが、周りをいらつかせるけど、いいところも沢山ある矢野さんを受け入れるラストも見たかったなとも思いました。
でも、住野さんのテーマは、集団ではなく自分の頭と足で弧で立つことかなと思うので、そんなラストは難しいのかな。
グイグイ読ませる筆力は素晴らしいです。
面白かった。