真夜中の寝床。
一昨日から胸の辺りに付きまとっている「厄介なやつら」に恨み言をいいながら、
肌にまとわりつく湿り気をなんとかやり過ごそうと、布団と身体を何度も捩じらせる。
大して眠りたいわけでもないので、余計なことが気に障る。
しかし、それよりも「厄介なやつら」にこれ以上身体をのさばらせていたくはなかった。
少しは眠れたのだろうか。
気がつけば、窓掛けの布越しの光が余りに彩やかに感じられ、これ以上の戦いを続けられないことを悟る。
諦めて身体を少し引き起こし、頭の後ろにある窓の方に向き直るよう、身体の向きを入れ替える。
そして、利き手の力だけでそのまま上半身を支えながら、逆の手を窓掛けにかける。
そのまま何かを思い切るように、高い音を立てておもむろに窓掛けを開いた。
まばゆく青い、澄んだ空が起きぬけの眼(まなこ)に飛び込んできた。
見事なまでの秋晴れ。
自分の重い心と疲れた身体が嘲笑われているような気がして、少し嘆息を付きながら窓を開ける。
今度は思いの他強い風が、一息に吹き込んできた。
(台風の所為か・・・?)
心の中でさらに悪態をつく。
しばらく多忙な毎日を過ごした後の、待ちに待った休日の朝だった。
他人(ひと)からすれば申し分ない朝と言えるのだろう。
しかし、それがむしろ気持ちを重く沈ませているという事実は、自分がこの世の中とあまりに隔絶されたところにいるような、うら寂しい想いを駆り立てる。
不意に、うなるような音が聞こえた。
傍らで眠る彼の人が、突然の光に顔を歪めながら、喚いていたのだ。
(ごめんね・・・)
心の中で自分の行為を侘びながら、今度は音を立てぬよう、ゆっくりと窓掛けを引き戻す。
(・・・起きるか・・・)
これ以上寂しい気持ちになることを避けたい想いが、身体を休めたいという理性を押しつぶした。
「まずは汗を流そう。」
小さくつぶやき、足から這うように寝床から出る。
まだ、休日は始まったばかりなのだ・・・