明日

●平原綾香 『明日』


“Jupiter”で有名になってしまった平原綾香の2枚目のシングル曲。
当レビューでは特に断りがなければアルバムを紹介していますが
その“Jupiter”の歌詞が無駄に壮大すぎるところと4拍子なところが
あまり好きではなかったので、ここではシングル盤としての紹介です。


さてこの曲、とてもシンプルなバラードです。
歌詞も短いのですが、その繊細にえらばれた詞のなかに
聴き手の想像にゆだねられたストーリーの存在を感じられます。


なんでもかんでも起こった出来事や相手への気持ちを言葉にして
詰め込んでいるうちにラップになってしまった昨今のポップスが
『等身大』『リアル』などと評されて支持を集めている状況が
あまり好ましくないと自分は思っているので、
勢いのある状況の歌手がこういう曲をシングルに持ってきたという事は
とても歓迎すべきことです。


といってもこの曲の発売は2005年、いまも『等身大』とやらの人気は
衰えていないようですけどね。若者は舌が回ってよろしい。

まあそういう考えはさておき、この曲は疲れた時や落ち込んだ時に
心に染みます。まさに琴線に触れる、といった感じです。


あと付け加えるなら、しんみりと聴いていたはずなのに
この曲の間奏から出てくる池松宏さんのコントラバスのソロを
いつの間にか集中して聴いてしまい「練習しなきゃ…」という気持ちに
させてくれるという効果がこの曲にはあるのです。
この効果はベーシスト限定ですが。