マリアシュナイダー

●Maria Schneider / sky blue


芸術の秋にふさわしい一枚。純然たる芸術。
2007年に発売された女流コンポーザー・アレンジャーの
マリア・シュナイダーによるビッグバンドジャズの作品です。


産業的な音楽とは遠いところに身をおき、
芸術としての音楽を追求した結晶であるレコードだと思っています。

運転中や何か作業をしながら聴くことはお勧めしません。


タイトルとジャケットデザインが音楽の内容に非常にマッチしているので
だいたいこのCDを流すときは目に見えるところにジャケットを立てています。


編成はトランペット4本、トロンボーン3本とバストロンボーン、サックス5本
にピアノ、ウッドベース、ギター、ドラムという
一般的なジャズビッグバンドのラインナップなのですが
サックス隊はフルートやクラリネットに持ち替えたり
さらに一部アコーディオンとコーラスを加えることによって
より透き通って広がりのあるサウンドが作られています。


『ビッグバンドジャズ』というと例えばベニーグッドマンやグレンミラーの楽団など
ダンスパーティーの伴奏になりえる4ビート中心の構成が多いのですが
現代のビッグバンドでは変拍子やテンポチェンジによる複雑で難解な構成の
アレンジが当たり前になってきています。


逆にフリージャズに寄りすぎていて理解できずつまらない、
という作品も増えてきているのですが
この作品は前衛的にはなりすぎず絶妙なバランスで
メロディとリズムとハーモニーの流れを楽しむことが出来ます。
1曲目のthe 'pretty'road なんか最高です。


ちなみにこの作品の4曲目“Cerulean Skies”は50回のグラミー賞において
Best Instrumental Compositionという部門で受賞しているのですが
そのわりに日本ではかなりマイナーな存在なのが残念です。


現在、彼女はArtist Share(http://www.artistshare.com/home/default.aspx )という
インディーズ的な会社からレコードを出しています。
流通や資金の関係など、新しいことに取り組んでいるようですね。
是非もっと頑張っていただいて、日本にもこのような良質な音楽が
広まるようにして欲しいと思っています。