i want you

vocalケンジです。

久々の更新です。


さて、今回はNew Soulの立役者

Marvin Gayeが1976年に出した大名盤

“I Want You”をご紹介します。


前作“Let's Get It On”から3年ぶりのアルバムで、

Leon Wareが曲提供、製作に関わっています。

というか元々Leon Wareが自己名義で出そうと思っていたそうですが、

そのデモを聞いたMarvin Gayeが非常に気に入り結局代わりに録音した、

というエピソードがあるようです。


このアルバムはSan Franciscoの

Haight Ashburyの端っこにあるAmoeba Musicという

体育館みたいに広い中古レコード屋で買いました。

当時の僕は、Donny Hathawayの“Live”や、

それこそMarvin Gayeの“What's Going On”等の

いわゆる超有名盤しか聴いたこと無かったのですが、

もう少し突っ込んでSoulを聴いてみたいなぁ、と思い

購入してみたのがこの“I Want You”でした。

ちなみに理由はなんてことなく、ただ3ドルとお求めやすかったからです(笑)


このアルバムの音楽を一言で言い表すと、「エロティック」です。本当に本当にエロいです。

寡聞にして、僕はこれ以上にエロいアルバムを知りません。

ただこのエロさは、Funkで良く見られるような猥雑といった類のものではなく

かと言ってムーディとかメロウとか言って片付けるのはばかられてしまう様な、

もっともっと奥行きのあるエロさだと、僕は思っています。


心地良いグルーブと何層にも重ねられた柔らかいヴォーカルに体を預けていると

ジョルジュ・バタイユの「エロチシズム」で言うところの

「非連続的存在の立場に関係した陰鬱な展望が忘れ去られてゆく印象」を

持ってしまうのは僕だけでは無いと思います。

まぁ、僕が言う「良い音楽」は聴き手を「連続的」にしてくれるものが多いのだけれど、

このアルバムはテーマそのものがずばり「セックス」という印象を受けるので、

ことさらにそう感じてしまうわけですよ。ハイ。


話が少々それました。


さて最後に、

名盤の条件とも言えますが、

このアルバムでは駄曲がまったくなく、

かつinterludeがかなり効果的に使われているので、

アルバム一枚が一つの作品として高い完成度でまとまってます。

気づいたら全曲通して聞いていた、という事もしょっちゅうです。


未聴でしたら、是非お試しください。

大傑作です。


2006.11.25