ヴィ、Vistaーー! | 読書日記

読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

とうとうサポートが切れてしまいます。
学生の時に自腹で13万で買ったこのパソコンともお別れです。
新しいパソコン……





・小野不由美『営繕かるかや怪異譚』KADOKAWA/角川書店 (2014/12/1)
・坂木司『何が困るかって』東京創元社 (2014/12/12)
・森博嗣『暗闇・キッス・それだけで』集英社 (2015/1/26)
・高橋源一郎『動物記』河出書房新社 (2015/4/9)
・ジュリアン・グラック『シルトの岸辺』岩波書店 (2014/2/15)



・小野不由美『営繕かるかや怪異譚』

――◎亡くなった叔母から受け継いだ町屋。あるとき一人暮らしの私は気がつく。ふだんまったく使わない奥座敷に通じる障子が、何度閉めても――開いている。(「奥庭より」)

◎古色蒼然とした武家屋敷に住む母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」。最初は息子も嫁も孫娘も見えなかった。しかし……。(「屋根裏に」)

◎袋小路の奥に建つ古屋を祖母から受け継いだ。ある雨の日、鈴の音とともに喪服姿の女性が隣家の玄関先に立っているのを見掛けた。一目で、見てはいけないものだと分かった。(「雨の鈴」)

◎亡くなった祖父の会計事務所を継ぐため、家族で郷里に帰った父。思春期真っ只中の真菜香は、何もかもが嫌だった。あるとき、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。(「異形のひと」)

ほか全6篇を収録。

※初出:「幽」(KADOKAWA)vol.015(2011年7月1日発売)、vol.016(2011年12月16日発売)vol.017(2012年7月2日発売)、vol.018(2012年12月17日発売)、 vol.019(2013年7月1日発売) vol.021(2014年7月4発売)に掲載。


【営繕】の意味
建造物の新築と修繕のこと。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より)
一般的には模様替(リフォーム)なども含む。

【かるかや】の意味
山野に自生する多年草。葉はイネに似て、秋、ムギの穂に似た小さい花を葉のわきにつける。高さは1.5メートルくらいに達する。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より)――




普通に幽霊の出てくる話です。
でも怖がらせようというホラーではなく、幽霊も何かを抱えていて障りが出ているのだから、それを解決してあげようというほっこりホラー。

どれも家にまつわる幽霊で、それを営繕かるかやさんが最後どうにかしてくれるという流れ。だから主人公が切った張ったの大立ち回りをするのではなく、ほんの少し出てきて助けてくれるような話ばかり。連作だけどキャラクターものの話ではないです。

表紙の絵を『蟲師』の作者が描いているのですが、流れは確かに蟲師っぽい。人がいて、怪異があって、そこにちょっと関わって解決していく。あくまでメインは市井の人々。

ほっこりホラーとか書きましたが、そこは小野不由美です。描写は怖いです。お気を付けて。
個人的には『異形のひと』が怖かった。さまようじじい。



・坂木司『何が困るかって』

――子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方。夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末。バスの車内で、静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」。あなたの日常を見守る、けなげな「洗面台」の独白。「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語―などなど。日常/非日常の情景を鮮やかに切り取る18篇を収録。――


初めて読んだ作者ですが上手です。どれも一捻りある短篇集で、意外なオチ系がうまく決まっていました。先入観を逆手に取ったような話が多いです。
18編あるので中にはよくわからないものも間々ありますが、全体的に悪意のある、もしくは暗い話が目立っていた気がします。もちろん明るいのもあります。

ショートショートとはいえ星新一的ではなく、最近読んだもので近いのは『ベンハムの独楽』ですかね。あそこまでダークではないですが。

どうも普段はほんわか系を書いているようで、ファンからは評判の悪い本のようですが、面白いと思いましたよ。
最後にタイトルの『何が困るかって』の意味もわかります。まあそうかもしれないですねぇ。



・森博嗣『暗闇・キッス・それだけで』

――大学在籍中にコンピュータのインタプリタを作製、休学してソフトウェア会社を創業、1980年代にコンピュータ業界で不動の地位を築いた、IT史上の伝説的存在ウィリアム・ベック。会長職を譲り、第一線から退いたウィリアムは現在、財団による慈善事業に専念している。探偵兼ライターの頸城悦夫は、葉山書房の編集者兼女優の水谷優衣から、ウィリアムの自伝を書く仕事を依頼され、日本の避暑地にある彼の豪華な別荘に一週間、滞在することになった。そこにはウィリアムだけでなく、その家族や知人、従業員などが滞在していた。
ところが、頸城が別荘に着いた後、思いもかけない事件が発生する。警察による捜査が始まるが、なかなか手がかりをつかむことができない。そんな中、さらなる 悲劇が……。取材のために訪れた頸城は、ウィリアムの自伝執筆の傍ら、この不可思議な殺人事件にも関わることになる。果たして、事件は解決できるのか。
忘れ得ぬ苦しい記憶を背負った探偵が、事件の謎・愛の影を探求・逍遥する、至高の長編小説。
待望の書き下ろし長編ミステリー。
――



どこにもね、続編だって書いていないんです。でもこれはシリーズ物だったんです。『ゾラ・一撃・さようなら』の続きです。してやられた。読んでいないよ。どこかに書いておいて。
なので過去のほのめかしが前作で出てきたのか、ただのほのめかしなのかはわからないので、ストーリーだけの感想を。

なかなか進まない感が少しと、何故かもてる主人公に釈然としない。村上春樹かな? と錯覚しました。自分語りが少し鼻についたのであまりこの本は向いていません。
まあそこは森博嗣なのであくまで「この本は」です。苦手なほうの森博嗣。『スカル・ブレーカ』シリーズに似ているかも。

トリックはええ、なるほど、といった感じ。犯人はああ、そうなのか、と思い。動機はうーん、そこかぁ、と唸る感じ。ただやっぱりなんかのついでみたいに謎解きをするドライなところは好き。

本題は主人公頸城悦夫(くびき・えつお)が、元恋人の水谷優衣とどうなるのかに重点が置かれているような構成。
そしてあのラスト! スカッとしました。やっぱり森博嗣はいいね。



・高橋源一郎『動物記』

――「ことば」を奪われたものたちが、いま、立ち上がる。本日未明、政府は「開戦」を宣言しました。著者が「動物」たちへ贈る最後の書、刊行!――



高橋源一郎らしい突飛さ。読んでると、これを書くのは高橋源一郎意外ありえないなあと実感できます。
でもあんまり面白くなかった。アリクイの愚痴とかビクーニャの自慢とか面白いところもあるんだけど、あの突き刺さってくる感じがない。
と思ったら最後の短編『動物記』。もはやこの為の前振りかと思った。
幼少期のザリガニを溶鉱炉に放りこみ続けた記憶から、うさぎをただ飼い殺し、自分は何かを育てることに向いていないと自覚し、自覚しながらもどうしようもない無為感を抱えた「わたし」の独白。刺さります。



・ジュリアン・グラック『シルトの岸辺』

――著者最大の長篇かつ最も劇的な迫力に富む代表作。1951年度のゴンクール賞に選ばれたが、グラックは受賞を拒否、大きな話題を呼んだ。「この小説は、その最後の章まで、決して火ぶたの切られない一つの海戦に向かってカノンを進行する」――宿命を主題に、言葉の喚起機能を極限まで追求し、予感と期待とを暗示的に表現して見せた。――



タイトルがまず好き。シルトの岸辺。
舞台は架空の国「オルセンナ」。建国から300余年を経て、年老いた国家。海を隔てた向こうには、敵国「ファルゲスタン」。敵国とはいっても、もう長い歴史の間交流が無い。ただ和平交渉をする機会もなくなんとなくずっと休戦状態が続いている。
シルトはその前線。とはいえもはや砦はほぼ朽ち、詰めている兵も半数以上は近くの農場の手伝いに出ている始末。ファルゲスタンは幻想とほぼ同意義になっている。
貴族の青年アルドーは、都の生活に飽きて自ら軍役を望む。割り当てられたのは辺境シルトの監察将校。最初は陽気に楽しんでいたアルドーだったが、ある時から不穏な空気が漂い始める。やけに整った海図室、軍籍のない舟、戦争の噂。いつしか噂は真実味を帯び、朽ちた砦は修繕され始める。
やがて何かに突き動かされるようにアルドーは警戒水域を越えて船を出す。そしてなんの警告もなしに船に向かって放たれたただ一発の砲撃。
にわかに色めき立つシルト、およびオルセンナ。しかしファルゲスタンの動きはない。
ファルゲスタンの動向はわからないにも関わらず、もはや国中が戦争へ向けて動き始めていた。

というような話です。何かが起こるぞ起こるぞという予感だけがあり、実際の戦争はこの話の範疇にはありません。
主題は、何故実体を伴わないのにオルセンナは戦争への道を辿ることになったのか、ということですかね。きっかけを作ったアルドーがいなくても、きっと別のアルドーが現れただろうと言うように、世界は戦争を待ち望んでいたのであろうかという。

ただ陰謀的にも見えるんですよね。アルドブランディ家という野心家の一族がいて、戦争の噂を流したのは令嬢のヴァネッサ。アルドーは利用されただけ? ただヴァネッサ魅力的です!
そうすると穏健派で保守派のマリノ大佐は本当に事故死だったのか? とも思えるし、うーん。

詩人らしい散文詩的な描写で世界観は素敵です。ただ長いので眠くなります。難しい本ですね。





まだまだ文章打つくらいなら余裕で使えるのに、残念です。
でも確かにネットの接続は重いし、読み込み長いし、固まるし、バッテリーもたないし、やっぱり寿命なんでしょうか。
残念です。



それではまた。
さようなら。



『まだ わからんか・・・心じゃよッ!』